2017/11/29 10:30
山本 拓真=カナミックネットワーク 代表取締役社長

 はじめまして。カナミックネットワークの山本です。日本は世界一の高齢化先進国でありながら、社会保障分野でのイノベーションが足りない状況です。このコラムでは、超高齢社会日本における地域包括ケアの実現に向けて何が必要か、私の経験を踏まえてお伝えしていきたいと思います。

 地域包括ケアは、日本が超高齢社会を乗り越えるための重要なパーツです。私は、2011年から東京大学高齢社会総合研究機構の共同研究員として、千葉県柏市での地域包括ケアのモデル事業である柏プロジェクトに参画させていただきました。

 柏プロジェクトでは、生きがい就労やフレイル(虚弱)予防、医療・介護連携と住まいを中心とした地域包括ケアの構築などさまざまな取り組みが行われており、「医・職(食)・住(い・しょく・じゅう)」の充実にチャレンジしています。しかし、現実問題としてまだまだ日本全国の地域包括ケアは完成までは程遠い状況です。

 言うまでもなく、日本は既に高齢化率26%の超高齢社会です。4人に1人が高齢者。しかしながら、今後さらに進む高齢化について、社会全体での危機感は薄いように思います。

今後の人口構造の急速な変化(図:厚生労働省の資料より)
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 そこには、多くに人にとって高齢化を切実な問題としてとらえてもらえない現状があります。介護の問題は、自分や自分の家族がかかわって初めて他人事でなくなります。まさに急に襲ってくる家庭の危機なわけです。介護にかかわる複雑な制度もそれに拍車をかけています。

 地域包括ケアに付随してよく出てくる言葉に「2025年問題」があります。この言葉は、日本の今後をとらえる言葉として盛んに使われていますが、誤解を招いているように感じます。

74歳までの要介護割合は約3%

 2025年というのは、団塊の世代が75歳を超える年を指します。団塊の世代は、既に65歳を超え高齢者のゾーンに入っていますが、まだまだ元気に働いている方も多いです。実は、65~74歳までで要介護となっている人の割合は3%程度しかいません。いくら団塊の世代の人口ボリュームが多いといっても、まだまだ大きなインパクトには至っていません。

 ところが75歳以上の要介護・要支援認定率を見てみると、実に30%以上に跳ね上がります。約3人に1人が何らかの介護が必要になる状況に陥るわけです。この状況を重ね合わせ、団塊の世代が75歳以上となると介護の需要が爆発的に増える事が想定されるため、これが2025年問題と呼ばれています。

 さきほど「誤解を招いている」と言ったのは、この問題は決して2025年に終わるわけではないということです。むしろ、2025年は「始まりの年」に過ぎません。高齢者人口のピークは2042~2045年です。このピーク時には、団塊ジュニアも65歳を超えてきます。

デジタルヘルス活用の可能性

 今後の日本が高齢化に対応するために考え出されたのが地域包括ケアシステムです。そこには、在宅医療はもちろん、介護人材や子育て支援の問題などと共に、ICT、IoT、ロボット、AIなどデジタルヘルスによる多くのソリューションの可能性が含まれています。

 本コラムでは、それぞれのテーマごとに掘り下げる視点を提供していく予定です。そして、これからの超高齢社会日本が課題解決先進国へと進化できる一助になればと願っています。