我が国では暮らしへのICT活用が急速に広がっている。国としても、「Society5.0」を推し進めている。しかし、総務省の平成29年度版 情報通信白書によれば、医療・介護分野でのICT利活用の割合は40%にも満たない状況である。

 介護業界は慢性的な人材不足であり、離職率も高い状況にある。介護現場の働く環境をより良くし、人材定着を進めるためには、ICTやIoTの利活用は不可欠だ。人手だけで被介護者のヒアリングや見守りを一人ひとり行っていくことは困難だが、複数のIoTセンサー情報を”掛け合わせる”ことで、より質の高いサービスや介護者の業務負担軽減や効率化を実現できる可能性がある。

今まで見えなかった事実を把握できる

 人手で行っている現在の多くの介護現場の場合、定期的な居室訪問によって利用者の状態を把握し、生活状態の観察記録を蓄積。職員間でカンファレンスを実施することで利用者の生活状態の把握・共有している。これに対して、複数のセンサーを活用して利用者の生活状態(睡眠状態や夜間行動)を客観的なデータとして可視化・把握すれば、課題が分かりやすく見える化される。

 例えば、「ベッドセンサー(睡眠)」「人感センサー(動き)」「ビーコンセンサー(位置情報)」「排泄センサー(尿量)」など複数のセンサーを組み合わせれば、今まで見えなかった事実を把握できるようになる。具体的には、「睡眠障害の発見」「排泄障害の発見」「障害の原因検討」につながる可能性もある。

複数センサー活用のイメージ。図は、総務省のIoTサービス創出支援事業(平成28年度第2次補正予算)に採択されたカナミックネットワークの取り組みの例
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 介護計画立案の質の向上および記録業務負担の軽減と申し送り・引き継ぎ業務の効率化を図ることも可能になる。「昼夜逆転」や「夜間トイレ頻回」も同時に判断することができ、その際に発生する可能がある「転倒リスク低減」のためにベッドとトイレの動線の検討なども合わせて検討することが可能である。