いよいよ同時改定、医療・介護連携でのICT活用シーンを探る

ケアマネジャーのICT活用も増加へ

2018/03/26 09:30
山本 拓真=カナミックネットワーク 代表取締役社長

 2018年4月、いよいよ診療報酬と介護報酬の同時改定が実施される。社会保障における6年に1回のイベントのため、大きな注目が集まっている。

 今回の同時改定では、2025年問題が近付く日本において、イノベーションの期待が高まるキーワードが並んだ。例えば、「遠隔医療(オンライン診療)」「自立支援介護」「介護ロボット」「ペーパレス化」「密接な医療・介護連携」などである。

 厚生労働省から提示された報酬案は、現場が期待した報酬額であったかどうか賛否両論あるだろう。ただし、少なくとも今までできなかった事が新しく認められるなど、イノベーションのための大きな風穴が開いた内容だと筆者は受け止めている。

 このうち本稿では、今回の同時改定における(1)医療・介護連携でのICT活用、(2)ケアマネジャーのICT活用、の2つのシーンについて掘り下げていきたい。

(1)医療・介護連携でのICT活用

 今回の同時改定は、やはり医療と介護の連携に重きが置かれた内容だと言える。キーワードは、「地域包括ケア」と「リハビリテーション」であると思う。今回、医療と介護の双方で利用できるリハビリの共通様式ができたのも、医療と介護の縦割りだけではなく横串も刺せる同時改定の成果だと思う。地域支援事業における在宅医療・介護連携推進事業も経過措置が終わり、2018年4月以降は全国自治体で整備され医療・介護連携がより促進されていくはずだ。

 今回、入退院時や日々の業務での連携に対する報酬が新設または増額されたため、ICTの活用シーンも増えていきそうである。入退院時の連携については、医療と介護の双方で情報提供日数など基準が統一され、分かりやすく整理された。

入退院時の医療・介護連携に関する報酬(図:厚生労働省の資料から)
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 介護保険側では連携加算が新設されたり、ケアマネジャーの入退院における加算が増額されたりした。これにより、介護事業者が医療機関と連携していくインセンティブが明確化された。医療と介護が途切れなく連携することは患者・要介護者のメリットが大きいため、法人の垣根を越えて地域内連携が促進されればと願っている。

 訪問診療の主治医とケアマネジャーの連携は、地域支援事業における在宅医療・介護連携推進事業の肝である。今回の改定では、重度者における連携において、医師からの助言・情報提供が要件化された。また、変化の早いターミナル期においてケアマネジャー側もカンファレンスの招集なしに要介護者や家族の了解を得てケアプランを変更することが可能になった。

訪問診療の主治医とケアマネジャーの連携強化(図:厚生労働省の資料から)
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 ただし、在宅主治医とケアマネジャーの密な連携や助言・情報提供が必要になったため、紙ではなくリアルタイムに双方でやり取りできるツールが必要になる。まさにICTの出番だ。

 今後、在宅ケアで診るがん患者や認知症患者の数は増加の一途であるため、コミュニケーションをより効率的かつ伝わりやすくサマライズするICTが重要になってくる。報酬にも絡んでくるため、各地域での個別化されたICTというよりは連携帳票を含めて標準化していく流れになってくると考えられる。実際、厚生労働省では、介護情報の標準化の研究事業なども進めている。

(2)ケアマネジャーのICT活用

 次に、介護保険において最も重要な立場であるケアマネジャーにフォーカスする。今回の改定は、ケアマネジャーが医療・介護連携にICTを活用するシーンがより増えてくる内容になったと言えそうだ。

 まず、担当している要介護者の入院時において、入院時情報連携加算に変更が加えられた。今までは入院から7日以内に情報連携シートを紙で印刷して訪問して情報提供する運用だったが、入院から1週間も経ってからの情報提供では既に情報が遅く活用できない問題があった。

 そこで今回、7日以内から3日以内と提供期間が短縮され、その代わりとして訪問は必須ではなく、「提供方法は問わない」という記載に変更された。つまり、具体的なICTの活用シーンが生まれてきたわけだ。

 普段から地域包括ケアにおいて医療と介護がICTで連携している地域においては、きちんと情報連携シートをケアマネジャーから病院に提供する仕組みを組み込めば、より良い情報をより早く伝えることによって入院する要介護者や受け入れる病院側にとっても有意義となる。そして、その連携が評価されて加算が取れるケアマネジャーにもやり甲斐が出てくる。

 次に、退院・退所時のカンファレンスにおいては、今までケアマネジャーが病院でのカンファレンスに参加した場合の評価が300単位だったところが600単位と倍増した(連携1回の場合)。さらに、2019年度からは、退院・退所時の連携を年間35回以上行うとともに、ターミナルケアマネジメント加算を年間5回以上算定している事業者は、より高い報酬を取れるようになる。つまり、より医療との連携をできる介護事業所が評価されていく仕組みになる。

退院・退所加算の見直し(図:厚生労働省の資料から)
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 今回、医療機関からの退院時において、関係者による対面でのカンファレンスを求めている評価に関して、一定の条件下でICTを用いたカンファレンスを組み合わせて開催できるようになる。ケアマネジャーとしては、病院や診療所、訪問看護などとの入院・退院時およびケアプラン作成時での連携にICTを活用するシーンが増えてくるだろう。