イラスト:ニシハラダイタロウ
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 「開発にも仁義がある」と、私は思う。仁義とは他人に対して欠かせない礼儀であり、務めである。仁義と聞くと、任侠(弱きを助け強きをくじく)映画を思い出す方も多いだろうが、この仁義は開発をする上で最も優先すべき理念であり、原理・原則なのである。

 開発とは、新しいことを創造するとともに、先の見えない不安でいっぱいになる作業でもある。その開発を複数の企業で共同もしくは提携して進めるときは、お互いの信頼関係が何よりも重要だ。そしてそれは、お互いに仁義を大切にすることで醸成される。

 だから、そうして築き上げた強固な信頼関係があれば、何か問題が起こっても無理難題が降りかかってきても、お互いが助け合って、共通の目的のために頑張れるのである。

 ところが、この仁義を無視する、いや、最初から考えようとしない企業が増えているようで、私は悲しく感じている。

 ただ儲かればいい、それも自社だけが儲かればいいと考える会社に仁義はない。あるのは金・かね・カネという、独り善がりの邪念である。つい最近も、突然、共同開発先の企業に対して一方的に提携を解消する旨の通知をするという事件(?)を見た。

 提携解消を通知された企業は、まさに寝耳に水。あと少しで開発が終了し、さあ実証試験だ!という矢先、「やめる」と言われたのだからたまらない。一体、今までの苦労と経済的な投資をどうしてくれるのであろうか。