厚生労働省の任務を兼任する意義

武藤 その言葉を体現するかのように、江崎さんはこのたび、経済産業省に加え、厚生労働省の任務を兼任することになりました。どのような役割を担うのでしょうか。

江崎 二つの省を同時に担当することは、それぞれ一方の立場だけでは扱いきれなかった課題にチャレンジすることだと思っています。特に、制度的な見直しや経済インセンティブの付与といった政策ツールだけでは、十分な効果が得られなかった課題を扱う予定です。具体的な施策を考えるに当たっては、医療・介護サービスの利用者(=患者)の視点を加えることで両者を結び付けていくことが大切だと思っています。

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 卑近な例を挙げれば、現状では予約を取って病院へ行っても1時間以上待たされることは珍しくありません。これでは如何に医療制度が良くても仕事で忙しい患者が時間をやり繰りして病院に行こうという気にはなりません。一方、医師は「命は全てに優先すべきだ」と言って患者側の事情をほとんど考慮しません。その結果、退職して時間がある人ばかりが病院にあふれることになるのです。

 他方、勤労世代にある人の多くは、健康の大切さは理解しつつも業績や上司の評価を気にして健康管理が後回しになり、生活習慣病が重症化して初めて病院に行くため、検査や治療に膨大な医療費を使います。しかも、いったん医療や介護が必要なれば手厚い公的保険制度に大きく寄りかかることになるのです。

武藤 具体的には、どうのような変革が起こせると考えていますか。

江崎 私個人としては、2つのことを考えています。