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経産省と厚労省、一方では扱いきれなかった課題に挑む

経済産業省 商務・サービスグループ 政策統括調整官 江崎禎英氏 × 武藤真祐

2018/09/26 11:00

超高齢社会の処方箋を記した著書『社会は変えられる:世界が憧れる日本へ』を2018年6月に発行した経済産業省の江崎禎英氏。内閣官房 健康・医療戦略室 次長の兼務に加え、このほど厚生労働省 医政局 統括調整官も新たに兼務することになった。さまざまな立場から、同氏はいかなる社会への変革を目指すのか。(編集部)

武藤 江崎さんは最近、著書の中で超高齢社会における医療・介護についてのご自身の考えを発信されました。まずはこの分野への思いの原点は、どこにあるのでしょうか。

江崎 この分野に関わる中で最も強く感じているのが、日本が医薬品や医療機器の多くを「輸入品でまかなっている」という現状への危惧です。そもそも日本は、高度経済成長期の頃から原材料を輸入し、高付加価値品を輸出することで国民生活に必要な食料やエネルギーを確保してきました。日本経済のこの構造は今日でも全く変わっていません。

左が経済産業省 商務・サービスグループ 政策統括調整官 江崎禎英氏(写真:栗原克己、以下同)
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 ところが、最大の高付加価値品である医薬品や医療機器に関しては、残念ながら圧倒的に輸入に頼っているのです。国民経済を預かる経済産業省として、この状況を看過するわけにはいきません。

 かつて私がEU(欧州連合)の職員だったころ、同僚から「日本はなぜ医薬品を輸入するのか」と聞かれたことがありました。当時の私には質問の趣旨が分からなかったのですが、彼は、「高い技術力を持つ日本が医薬品を輸出することはあっても、輸入する必要はないのではないか」と言いたかったようです。外国人から見ても違和感を抱く日本の医療産業の現状に大きな危機感を抱いています。

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 さらに言えば、アジアの方々からは「命や健康に関わるモノやサービスは日本製に限る」という言葉を耳にします。以前、華僑協会の幹部の方から、「日本人の持つ『思いやり』という言葉は、中国語に訳せない」と言われました。つまり、「他人のためにコストや手間をかけ、しかも、それを自分がやったと相手に伝えなくても良い」という日本人の行動規範は、中国人にとっては驚愕に値するというのです。

 彼の言によれば、中国人は、「赤ちゃんにあげるもの」、「肌に付けるもの」、「口に入れるもの」はお金がある限り日本製を買うと言っていました。本来こうした期待に最も応えるべきものが、医薬品や医療機器だと思います。「世界の人々の命を救うこと」は、高い技術力と信頼を持つ日本が果たすべき役割です。

 同時に、「命にかかわることは日本に任せよう」という意識が世界に広がることは、日本にとっての「国防」にもなるのです。つまり、「日本と敵対することは、翻って自分達の健康や命を損ないかねない」という状況を優れた医薬品や医療機器、医療サービスを供給することで確立するのです。

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