AIの導入、医師の仕事は3つ残る(page 3)

厚生労働省 医務技監 鈴木康裕氏 × 武藤真祐

2018/06/25 11:00

医療業界でも相当な省力化が必要に

武藤 その点は、私もまったく同じ意見です。結局のところ、多くの人が頭を抱えているのは、セキュリティーなどの問題も含めて、「病院が提供したデータを価値あるものに変え、それを企業などが購入し、その対価を病院が受け取る」という仕組みを本当に実現できるのか、ということでしょう。

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鈴木 個人的にその実現の可能性を示していると感じているのが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が展開する「医療情報データベース(MID-NET)」です。MID-NETは次世代医療基盤法が成立する前に作られたものなので、基本的にはデータは病院内にとどまって,その分析結果が集められるわけですが、これをもう一歩進めて記名式データまで集められるようになれば、製薬会社などにとってはより有益なものになると考えます。

武藤 今後の医療の将来像についてはどのようにお考えですか。

鈴木 2025年には団塊の世代が75歳を迎え(いわゆる2025年問題)、そこからおそらく5~10年が日本医療のピークだと考えています。その後は、高齢者数も減少傾向になっていきます。そのときには労働人口も大きく減少しており、医療業界でも相当な省力化が求められるはずです。また、働きやすい環境でなければ医師も集まらなくなりますから、いま注目を浴びている「働き方改革」も当然必要となるでしょう。

 高額になりがちな先進技術を適正価格にする努力も必要です。データベースの活用などは、その一翼を担ってくれると考えています。そしてもう一つ、私が非常に画期的だと思っているのは「条件付き早期承認制度」です。この制度は再生医療で既に導入されていますが、その結果、日本の再生医療製品のパイプラインは、米国や欧州のベンチャーも日本に進出してきたことで約15倍に増えました。現在はこの制度を医療機器と一部の医薬品にも広げており、さらなる活用を模索しています。

 例えば、条件付き早期承認制度で多くのデータを集められれば、そこから本承認への道筋を付けやすくなります。さらに、このデータをMID-NETのようなシステムと連携させることで、創薬にも活用されることが見込まれます。これによって、新薬の価格も抑えられる可能性があります。費用対効果なども分析しながら、一般の製薬企業や医療機器開発企業のコストやリスクを下げ、どうやってお互いにWin-Winの状況を作り出すことができるのか。そこが一番大事だと感じています。

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