ニューヨーク視察中の筆者

 税の使い道は身近であればあるほど、具体的であればあるほど、市民の視線は厳しくなる。これは私が10年間、市議会議員をやってみて、つくづく感じたことである。

 身近な税金の使途の1つに、街路樹の整備がある。街路樹の植樹や伐採には、それなりの金額が必要だ。その分、街並みに彩りを添えるのはもちろん、雨水を貯留し災害を未然に防いだり、二酸化炭素の削減に寄与したりといった経済効果も期待できる。もっとも、こうした利点や費用対効果、そもそもどこに何本の街路樹があるのかといった基本的な情報さえ、市民に知らされることは稀である。

150万本の植樹はどこに?

 横浜市では、非常に大掛かりな街路樹の植樹を実施したことがある。2007年3月27日、横浜市役所で開かれた「第一回横浜市150万本植樹行動推進本部会議」で、横浜市中期計画の重点事業であることが確認された、150万本の記念植樹計画だ。総事業費(4年間の累計)は当時の見込みで18億円。2007年度の歳出決算が約1兆3200億円の横浜市にとって、誤差みたいな金額だったかもしれないが、市民の関心は高かった。2年後の2009年に迎える、開港150周年の節目を記念した事業だったからだ。

 この事業が成功だったかどうか、その評価は難しいが、終わってみれば、約163万本の木を植え、約22万本の苗木を配るという、目標を上回る実績を残した(発表資料)。行政主導とはいえ、一つの市民運動でもあり、その点では評価できる事業だった。一方で18億円もの税を投入して実施する事業の割に、「効果が見えにくく、150万本分の緑が増えたという実感が湧きにくい」という市民の声が多かったのも事実だ。「150万の植樹を、もっと市民が納得できる形で可視化できれば、こんな不満も出ないのに」と思ったものだ。

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