GROOVE X代表取締役の林要さんと、慶應義塾大学大学院の前野隆司教授による対談の最終回。LOVOT(らぼっと)が見せた「かわいい」は、米国の展示会でも大好評。新しいタイプのロボットとして、現地で大きな関心を集めた。そんなかわいい相棒とも、いつかはお別れの時がやって来る。どのようにお別れしたらいいか。ロボットにとっての輪廻転生とは何か。人とロボットの関係の未来像を2人は語り合った。
林さん(左)と前野教授(写真:加藤 康)

思った以上にグローバルで受け入れられている

前野 2019年10月の出荷が近づいてきましたが、手応えはいかがですか。

 日本だけではなく、思った以上にグローバルで受け入れられているので面白い展開になるんじゃないかと考えています。特に、日本と同じように海外でも女性からの反応がすごく良かったんです。

 米国で開催される「CES」や「SXSW(South by Southwest)」で出展して、記者の方々に多くの質問をいただきました。印象的だったのは、ある女性記者とのやり取りです。「プライベートなデータをクラウドに蓄積するのか」と聞かれて、「いやいや、クラウドにつながなくても動くよ」と答えたら、安心したのか「かわいい、持ち帰りたい」と言ってもらえたんですよ。

 最初に最低限確認しなければならない「この物体は邪悪なのかどうか」という判断のチェックボックスがあって、そこにチェックが付くと「あれは大丈夫そうだ。あの形はかわいい」となるようです。

前野 なるほど。米国でもかわいいと感じてもらえたということですね。ただ、日本と違うところは、まず邪悪かどうかを見て、それで大丈夫ならかわいさを見るというプロセスだった。

 もちろん、文化の違いが影響する領域は必ずあると思います。それは、例えば、その地域の生活者が製品に求める水準などでしょう。日本ではサービスレベルを日本の水準にしなければなりませんし、他の国でも同じようにその国の水準に合わせなければならない。その境界付近で評価が変わるんだと思います。

 逆に言えば、十分に高い水準を実現していれば、どこでも高い評価を得られる。和食が世界で受け入れられているのに似ています。

前野 その意味では、米国でもかわいいと評価されたのだから、幸先の良いスタートですね。

 そうですね。世界で受け入れられるには、もう少し時間がかかると思っていました。日本人はロボットに対して優しいですから。

前野 さまざまな物事を擬人化するのが好きですからね。