前野 確かに、じっと森を見ていると、自然と自分のことを深く考えざるを得なくなりますね。

 背の低い人であれば「あそこに背の低い木があるな」と気付いたり、仕事で誰かに依存しがちな人であれば、ツタが大木に絡まっているのを見つけたりする。最初は「あのツタは大木に依存しているな」と思うけれど、よく見たらツタは元気に葉っぱを茂らせてほかの植物のためになっている。その様子から「俺だって依存しているだけじゃなくて、人の役に立っているんじゃないか」と思い直せることがある。

 森にはあらゆるものがあるので、あらゆる人が何かに気付くんですよ。

「森のリトリート」プログラムの様子。森にはあらゆるものがあるので、あらゆる人が何かに気づくという(写真:ホッピービバレッジ)

石渡 当たり前ですが、森の中には序列がありません。大きな木も小さな木も森の仲間で、森という存在そのものであって、互いに支え合っている。そういうことに気付きます。だから、参加するチームのメンバーも森の中では序列がない。森で参加メンバーは「フォレストネーム」で呼び合います。

前野 ちなみに、石渡さんは何と呼ばれているんですか。

石渡 「姫」です。

前野 姫? 「社長」よりはいいけど、何だか偉そうじゃない?(笑)

石渡 さすがに社員は、私のことを「何とかちゃん」とは呼びにくいんじゃないかと思って…。だから、「姫」なんです。フォレストネームで呼び合いながら、序列やヒエラルキーはない状態で気付いたことを話し合い、全員がそれを受け入れる。受け入れたところから、次の対話をするということを繰り返します。

前野 そういう人材育成プログラムを取り入れるということは、これから会社では、「社長を姫と呼ぶ」くらいにフラットな会社を目指すと?

石渡 社内で情報が流れにくくなるので便宜上、会社ではヒエラルキー構造になっていますが、動きとしては新しい形の組織にしたいと考えています。最近では、森で同じ経験をした「森仲間」という絆が社内にできて、チームビルディングにもなっていると思うんです。