プラットフォーマーは日本の“キャラ”ではない

野々上 リアルな世界の状況をデジタルに取り込んだり、デジタルデータをリアルな世界に出力したりするところには、必ずアナログ的なものが必要ですから。さっきの「長生き」や「モテ」にしても、単にデジタル上で分析するだけではなく、そこをユーザーにフィードバックする仕上げのところまでできるというのが、強みになるのではないかと思います。

川口 IoTの情報プラットフォームという話ですと、残念ながらSNSやeコマースの巨人たちにかなわないですが、リアルとデジタルの界面、つまりパーソナルエリアネットワーク(PAN)やボディーエリアネットワーク(BAN)と呼ばれる領域は日本の最後の牙城です。それより上は、ちょっと勝負が決まった感がありますので。

 これまでも、そしてたぶんこれからも、情報プラットフォームみたいなところで世界的に富を稼ぐというのは、日本の“キャラ”ではないんですよね。「みこしに乗る人担ぐ人、そのまたわらじを作る人」だったら、やっぱりわらじを作るんだろうなという…。

野々上 (笑)

川口 わらじを作ることに喜びを見いだす人たちはあまりいなくて、普通は早くみこしに乗りたいけどそうもいかないので仕方なくわらじを作るはずなんですね。日本は、「わらじ道」みたいになっていて、しかも「わらじA型」「B型」とどんどんガラパゴス化していく。お互いに効率が悪いんだけど、職人がお互いに切磋琢磨して半ばそれが目的化しているといいますか…。

 欧州からエレクトロニクスが失われたという話があって、まだ機械系はドイツに残っていますが、これもだんだん失われていくかもしれません。米国にも飛行機や医療機器ぐらいしかなくて、ところが日本にはたっぷり残っている。こういった中間部品的なもので日本の次というと韓国や台湾ですが、もうそんな手のかかることはやらないでしょう。DRAMやフラッシュメモリーや液晶で味をしめてしまったから。ここから先、分野としてはたくさんあるけど、一つひとつの規模はどんどん小さくなっていくので面倒なんです。

野々上 日本はそういった分野の中小企業がまだまだいっぱいあるので、IoTで何か始める場所としては非常に有利です。ただ、それをつなげる仕組みがありません。

川口 日本以外は他に残っていないから、仕方なく死ぬ気でデジタルをやっているんですよね。日本はやることがいっぱいあるところにデジタルも出てきたので、どうしても片手間になって弱いのですが、連携を深めていくしかないですね。

(写真:加藤 康)