昨今、1兆円を超える超大型M&Aが珍しくなくなってきた半導体業界。半導体は、自動運転やIoT、人工知能(AI)といった、今後の産業構造や社会構造を大きく変える技術の担い手になる。当然、半導体メーカーへの期待値は大きい。その一方で、半導体メーカーの技術者たちの一層のスキル向上が欠かせなくなってきた。こうした背景の中、半導体メーカーはどのような技術者教育を進めているのであろうか。そこで今回、大手半導体メーカーであるルネサス エレクトロニクスにおいて、技術者教育プログラムを推進する担当者に技術者教育のポイントを聞いた。回答者は、全社的な技術者教育を担当する長谷川淳氏(第二ソリューション事業本部 技師長 兼 CTO室 技師長)と、市場の変化に適応する現場力強化を担当する馬場光男氏(第二ソリューション事業本部 事業計画統括部 ビジネス戦略部 部長)である。

写真左から、長谷川淳氏(ルネサス エレクトロニクス 第二ソリューション事業本部 技師長 兼 CTO室 技師長)、馬場光男氏(ルネサス エレクトロニクス 第二ソリューション事業本部 事業計画統括部 ビジネス戦略部 部長)。
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――ルネサス エレクトロニクスにおける技術者育成に向けた取り組みには、全社的な技術者教育と現場力を高める教育があるとうかがっています。このうち、全社的な技術者教育はどのようになっていますか。

長谷川氏 当社全体では多くの教育制度を設けています。全社員を対象とした教育プログラムは人事・総務統括部が提供していますが、生産特有の技術力やものづくりの力を教育したり、強化したりする教育プログラムについては生産や設計開発に携わる事業本部が担当しています。半導体製品の設計部門でいえば、モノを開発・設計する技術力、さらには市場で求められているような製品などを、要求されている仕様に仕上げてタイムリーに市場投入できるような技術力を強化する必要があります。

 こうした技術力強化に向けた教育は、技術的な専門知識が求められるため、人事・総務統括部が全社的に一律に実施するのは大変です。そこで、技術力強化ワーキンググループを設けて教育プログラムを策定し、社内で横断的に実施しています。

――どのような技術者育成に向けたプログラムがありますか。

長谷川氏 「LSIをつくる」力を強化するプログラムと、「市場や顧客ニーズに応える」力を養うプログラムに大別されます。前者は「デジタル設計」「アナログ・メモリ」「プロセス・デバイス・実装」「品質保証等」の4分野で構成されています。当社の設計部門や開発部門で必要になる技術力に合わせて、こうした形にしました。後者を構成するのが、「プロジェクトマネジメント」「ソリューション」「技術イノベーション・市場理解」の3分野です。

 各分野でプランナーを任命し、具体的な講座ラインアップを考えてもらっています。各講座の講師は、社内の技術者の中でも特に技術力が高い社員に依頼したり、社外から招聘したりしています。

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