ケーヒンが若手技術者の教育を強化し始めた。クルマの進化が加速する中、自動車部品の技術も複雑かつ高度化。この変化に対応するには、若手技術者の技術力を引き上げなければならない。同社が技術者教育を強化する背景にあるのは、こうした危機感だ。同社の教育プログラムの構築に尽力する2人の技術系管理者に、同社の技術者教育のポイントを聞いた。その後編をお伝えする。(聞き手は近岡 裕)

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ケーヒン
1956年に創業。今年(2016年)に60周年を迎えた。2輪車と4輪車のキャブレターの量産からスタートし、1973年には CVCC(複合渦流調速燃焼) 方式エンジン向けキャブレターの開発に成功。1980年代以降はクルマの電子化の流れを捉えて、燃料噴射装置(インジェクター)とECU(電子制御装置)を、1999年にはハイブリッド車のECUを開発。2002年には小型2輪車用の燃料噴射システムを、2013年には世界トップ水準の性能の直噴エンジン用インジェクターを開発。2015年から燃料噴射システムのグローバル生産を開始した。2015年時点で2輪車用のキャブレターの累計生産台数が6億台を超えた。

──こうした講座による教育に加えて、配属先では先輩社員から仕事を教わるのでしょうか。OJTをやめたわけではありませんよね?

 もちろん、OJTは続けています。ケーヒンでは「新人ブラザー制度」を設けています。部署にもよるのですが、入社5年程度の面倒見のよい若手先輩社員をブラザーに任命し、実務はもちろん、会社生活におけるあらゆる面で新入社員の独り立ちを支援していきます。

 ブラザーを付ける意味は、新入社員の育成を計画的に進めるためです。教育計画を立て、数カ月ごとに管理職が推進状況をチェックしていきます。計画に基づくことで、どの段階でどのような業務遂行スキルが求められるかを、新入社員は客観的に知ることができます。

 加えて、新入社員が相談したいときに、頼れる人を明確にする意味合いもあります。同時に、新人ブラザー自身にとっても、自らが体験した先輩からの指導を振り返りながら、後輩指導を経験する場となっています。

 新人ブラザー制度を補完する意味で、「クロスブラザーの仕掛け」を採ることもあります。例えば、新入社員の配属先に直属の先輩社員がいないことがあります。この場合、隣の部署のブラザーにクロスブラザーになってもらうのです。また、ブラザーには直接聞きにくい相談があるかもしれません。その場合に、クロスブラザーであれば話しやすいことがあるかもしれません。

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ハイブリッドシステム設計を担当する佐藤真一氏(右)と直噴インジェクターの開発を担う佐藤岳氏(左)

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