史上最大の電波望遠鏡「アルマ」は構想から実現までおよそ30年がかかったが、その30年間は実現へ向けての「マネージメント」での苦闘の連続でもあった。そしてまた、サブミリ波の超高感度で超精密な電波望遠鏡(パラボラアンテナ)の製造現場でも、経験したことのない苦闘の「ものづくり」が続いた。 設計・製造を担当したのは三菱電機通信機製作所(兵庫県尼崎市)だが、その製造に参加したものづくりの中小企業、町工場は、どれほどあるかわからないほど数多い。 拙著『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』では、それらの技術者、技能者も含めておよそ100人にインタビューをしてまとめたが、彼らの証言には嘆息するばかりだった。

 1990年代の半ばから、国立天文台が海外に初めて建設する巨大望遠鏡「すばる望遠鏡」の取材を続けていた。建設現場は、ハワイ島のマウナ・ケア山頂(標高4205 m)だ。 その完成間近のハワイ島を訪ねた際、「すばる」プロジェクトを牽引してきた海部宣男さん(後に国立天文台長、国際天文学連合会長を歴任)から、

「次の大プロジェクトは、チリのアルマです」と聞かされた。

1998年11月05日、マウナ・ケア山頂のすばる望遠鏡に、アメリカのピッツバーグ郊外で研磨が続いていた口径8.3mの主鏡が無事搬入された。国立天文台ハワイ観測所長(当時)の海部宣男さんと、現場で喜びの握手をする筆者。
(撮影・山根事務所)
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 アルマは、標高5000mに建設する、とてつもなく壮大な電波望遠鏡群で、日米欧による国際プロジェクト。しかも、その計画は日本がイニシアチブをとっているというのだ。

 これは見逃せない。

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