日経コミュニケーション2016年4月号pp.54-60の5Gのすべて「パナソニックによるマルチRATの統合、ノキアによるIoTユースケース実証実験」を分割転載した前編です。

日本の5G(第5世代移動通信システム)を推進する5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)のキーパーソンが、日本を含めた世界の動向を、研究開発や標準化、ユースケース、アプリケーションといった様々な観点から解説する「5Gのすべて」。今回は、パナソニックの取り組みを紹介する。

 5Gでは、高速大容量/低遅延/高信頼性/省電力といった要件が定義されている。これらの要件は互いに相反する側面もあるため、すべてを同時に満足するよりは、多種多様なユースケースに応じ柔軟に対応する方策をとることが合理的と言える。それが導入や運用のコストを抑えつつ魅力的なシステムを提供する鍵となる。

 そして5Gに向けた取り組みには2つの方向性がある。一つは、3GPPにおけるLTE-Advanced Proのように既存技術(LTE)との後方互換性を維持しながら機能拡張を進める取り組みである。もう一つは、後方互換性の制約を外し経済合理的に機能拡張を図る、新しい無線アクセス技術「New RAT(Radio Access Technology)」の導入を推進する取り組みである。

 こうした2つの無線アクセス技術(LTE-Advanced ProとNew RAT)は、それぞれが単独では実現できない機能を相補的に補うことで、上述した多種多様な5Gの要求条件をシステム全体として実現することが可能となる。さらに、無線LAN(Wi-Fi)など3GPP以外の既存RATも統合することで、適応するユースケースの可能性が広がり、かつ、装置設置や標準化に要する期間を最小化できると考える。

 パナソニックは5G時代に向け、複数RATの特徴を最大限に活用し、工場や建設現場、インフラ保全、機内エンターテイメントなど、用途別のスマートソリューションを提供すべく研究開発を推進している(図1)。特に、高速大容量や低遅延といった無線性能を場所や要件に応じ柔軟に提供しつつ、場所により異なるトラフィック要件に応えるため、複数RATを用いたヘテロジニアスネットワーク構成が有効と考え、技術開発に取り組んでいる。

図1 5G時代のソリューション例
高速大容量/低遅延/高信頼性/省電力を活用した様々なソリューションの提供が期待されている。
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 今回はまず、ミリ波(60GHz帯)を使用するIEEE 802.11ad(WiGig)を、高速大容量通信を特徴とするRATと位置づけ、対応するトランシーバーチップセットとアクセスポイント(AP)の開発について述べる。続いて、ミリ波APをLTE網内でスムーズに切り替えることを可能としたC/U分離型ヘテロジニアスネットワークのプロトタイプを紹介する。さらに、複数RAT間を効率よく切り替えることで周波数利用効率を高める技術を解説する。

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