伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
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 2016年は、日本にとって「IoT(Internet of Things)元年」となりました。ビジネスや経済関連のメディアがIoTや人工知能の話題を多く特集。官公庁はIoTに関連する補助金などを創設し、IoT推進ラボなどのコンソーシアムが活動を開始しました。そして、多くの大企業が今後の戦略の中核技術に「IoT」と「人工知能」というキーワードを検討しました。

 この流れを受けて、IoTというキーワードは「電化製品がインターネットにつながる」という狭義の意味ではなく、「ビッグデータを収集し、それを人工知能で分析。これをロボットや情報端末で活用して、新しいサービスを生み出す」という広義の意味で認識されたと感じています。だからこそ、「IoTは人工知能や第4次産業革命につながる技術であり、単なる流行ではない」ということを感じた人も多いのではないでしょうか。私は講座などで「IoTは単なるITにおける技術の1つではない」と説明しています。この言葉の意味が、受講者に違和感なく納得してもらえる時代になったと感じています。

2016年に特に進化した技術は…

 IoT関連の展示会などを見ると、「無線」というキーワードが目立った年でした。具体的には、LPWA(Low Power, Wide Area)と言われる省電力長距離通信が可能な規格である「Wi-SUN」「Wi-Fi HaLow」「LoRa」などの無線機器やモジュールが数多く登場しました。特にLoRaには、最大10kmまでの長距離を通信可能な規格として多くの企業や技術者が注目しました。LoRaの登場により、広い牧場における牛の管理や、長い河川の水位管理など、これまでコストを考えると難しかったプロジェクトが簡単に実施可能になったと言えます。もちろん、今後も注目の技術です。

 それに対し、携帯電話通信に関する規格においても5G規格の開発機器や中継機などが多く展示されていました。5Gが実現すると1Gビット/秒(Gbps)以上の高速通信が可能になります。無線通信市場は数少ない約束された成長市場であり、技術進化が激しくライバルが多いことから激戦必至です。プレイヤーとしても携帯電話事業者や仮想移動体通信事業者(MVNO)に加え、新しい通信モジュールを開発するメーカー、ネットワーク機器を販売する企業などが参入し、非常に激しい争いになるでしょう。

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