伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役、サイバー大学客員講師、サートプロ IoT技術講師、IoT検定制度委員会メンバー
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 国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」がドイツで開催されています。最近、日本とドイツはIoT(Internet of Things)やビッグデータ、人工知能などの分野において包括的な連携を行うと宣言しました。そこに米国が加わり、日独米の連携が生まれようとしています。

 ただし、具体的にどのような連携を行うのかについては情報が限定的です。明確なことはこれから決まるのでしょう。そこで、これからどのような連携が行われ、製造業を中心として産業界にどのように影響するのかについて考えてみたいと思います。

ドイツのインダストリー4.0と日本の製造業

 ドイツのIoTといえば、「インダストリー4.0」を思い浮かべる方が多いと思います。 日本も2015年3月の日独首脳会談において、両国間で製造業におけるIoT/インダストリー4.0で協力していくことで合意しました。安倍首相も日本で「第4次産業革命」を実現することを表明しています。そのため、ドイツのインダストリー4.0を日本に輸入するのではないかという考えもあるようですが、私は、それは難しいと考えています。

 そう考える理由の1つは、インダストリー4.0はスマート工場を目指すのではなく、スマート工場を含む物流やサービス、いわゆるサプライチェーン全体を効率化することを目指しているからです。当然のことながら、国が違えば文化も環境も違います。従って、ドイツのサプライチェーンの考え方をそのまま日本に持ってくるには無理があると思うのです。

 一方で、新興国の製造業が台頭し、安いコストで品質の高いものを造る時代になりました。このままでは先進国の製造業は中小企業を中心に衰退してしまうかもしれないという点では、ドイツと日本は同じ危機感を覚えていると言えます。この課題を解決する一助として、インダストリー4.0が掲げる理念は日本にとっても大いに参考になる部分があるのです。

 私は、新興国にはできない、いや、日本にしかできない製造のあり方を考えて、「日本独自のインダストリー4.0」を早急に定義する必要があると考えています。