ロボットの発展ステップ

 第1ステップは、[1]の「人との協働」。規制の変更により、現在は安全柵が必須ではなくなりました。ロボットが「ぶつかりを検知する」「ぶつからない」「ぶつかっても安全」という要素を満たせば、安全柵がなくてもよいのです。これにより、「人とロボットが一緒に動く」「人の作業の一部をサポートする」「ロボットが人の声で動く」「人がロボットへ作業を教える」など、人とロボットの協働作業が可能になりました。

 第2ステップは[2]の「ロボットの移動」です。これは、人が必要な場所にロボットを簡単に動かせるという意味です。従来は、生産ラインにおいてロボットの位置は固定されていました。そのため、個別生産やカスタマイズ品に対応するためには、作業者や製品自身を移動させなければなりませんでした。加えて、安全上の問題やロボットの移動に対する労力を考えると、移動に関して柔軟な対応ができませんでした。これらの問題に対し、人が必要な場所にロボットを簡単に移動させることができれば、個別生産やカスタマイズ品対応においても、その都度自由なレイアウトの配置が可能になります。

 第3ステップは[3]の「ロボットの自走」です。第2ステップでもロボットを移動させることができますが、人の力を借りる必要があります。レイアウトの変更のたびに作業者がロボットを運ぶのです。これに対し、この第3ステップでは、作業者が設定した位置へロボット自身が自動で移動します。この移動は、従来の搬送車であるAGV(Automatic Guided Vehicle)とは違って軌道線型ではありません。軌道線がなくても自走で移動できるようになるのが「ロボットの自走」です。

 第4ステップは[4]の「ロボットの自律」です。第3ステップでは、ロボットが自走して作業者の移動の手間がなくなります。しかし、移動位置や移動タイミングは、あらかじめ人が教えなければなりません。これに対し、この第4ステップでは、目的をロボットに教えることで、人工知能(AI)を活用して自律的に作業を実施することができます。自ら作業方法を分析し、最適な方法を実施するようになるのです。

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図●産業用ロボットの進化

 スマート工場では、ロボットが単に自律的に動くだけにとどまらず、他のシステムと連動して稼働するようになります。では、スマート工場におけるロボットの役割とは何でしょうか。以下に書き出してみましょう。

・従来は大量生産に効力を発揮していたロボットが、個別生産に対応できるようになる
・個別のロボットの学習状況を他のロボットも共有し、最適な作業や動作を複数のロボットが即実施できるようになる
・ロボットが生産管理システムやシミュレーションソフトウエアと連動し、最適な工場レイアウトや生産方式の一翼を担う(第8回で取り上げる「デジタルツイン」を参照)

 次回は、スマート工場とビッグデータを取り上げます。