IoT時代の生産管理システム

 IoT時代における生産管理システムは、設備の稼働や作業者の実績をリアルタイムで把握できなければなりません。IoTではあらゆるものがつながり、データを有効活用することが求められます。従って、生産管理システムも他のシステムと連動し、工程や納期、作業、工数、品質などの情報を経営や顧客対応などに生かすことが重要となります。加えて、他の工場や関連会社などとデータを共有し、マスカスタマイゼーションを実現させて、スマート工場へと発展させる必要があるのです。

 もう1つ、IoT時代の生産管理システムが従来の生産管理システムと大きく異なる点があります。それは、IoT時代の生産管理システムは、生産方法の変更や他のシステムとのインターフェースの変化に追従できるシステムでなければならないことです。従来の生産管理システムでは変化への対応よりも安定性が重視されていました。個別受注生産におけるカスタマイズに対応できることはもちろん、取得した情報に応じて生産方式自体が変化する、もしくは改善できるのがIoTです。

IoTプラットフォームの活用

 続いて、IoTプラットフォームに進みましょう。IoTプラットフォームはIoTの実行基盤です。情報の蓄積や分析、ツールやアプリケーションソフトウエアの利用や開発などを行う重要な役割を担っています。

 IoT時代では、新たに自社で開発するソフトウエアなどを極力少なくし、IoTプラットフォームをいかに使いこなすかが重要になります。通常はクラウド型で提供され、初期費用は少額で、利用した分に対して課金されることが一般的です。オンプレミス型(システムに必要な機器を顧客が購入して運用するタイプ)だった従来と比べて、初期投資や保守作業などが削減されました。そのため、中小企業でも採用しやすくなっています。

 IoTプラットフォームには多くのベンダーが存在します。
米Amazon社「AWS IoT」
米Microsoft社「Azure」
米Google社「IoTプラットフォーム」
ドイツSAP社「SAP HANA Cloud Platform」
米Oracle社「Oracle Cloud」
米IBM社「Watson IoT」
富士通「FUJITSU Cloud IoT Platform」
米PTC社「ThingWorx」
などです。

 スマート工場を目指す場合には、以下のような製造業向けIoTプラットフォームを有効活用していくことになります。
米GE社「Predix」
ドイツSiemens社「Sinalytics」
日立製作所「Lumada」
などです。

 IoTプラットフォームで一般にできることは次の通りです。
・端末管理
・ストレージ
・データベース(DB)
・データの収集、保存、加工
・「見える化」
・データの異常検知
・画像監視
・情報の統計、分析
・開発支援
・3D処理
・アプリケーションソフトウエアの利用

 IoTプラットフォームには、試用期間の利用や導入サポートなどを無料で受けられるものが多くあります。そうしたサービスを有効活用し、自社の状況に合ったIoTプラットフォームを、自社の目的や技術レベルから適切に選択することが大切です。

 IoTにおいて最も重要なものはデータです。価値あるデータを自社内に置いておくことは危険極まりなく、お金を銀行に預けないことに似たリスクがあります。データは、IoTプラットフォームの標準機能によって「見える化」や「分析」が実施され、価値あるものに変わります。

 IoTプラットフォームは先ほど紹介したもの以外にも世界に多数存在し、その数は数百ともいわれています。これらのIoTプラットフォームは重要なデータを蓄積するため、信頼性が重要です。また、数多くの事例や問題解決方法をWebで検索できるため、申請性の高いIoTプラットフォームへ利用が集中し、大きな特色がないIoTプラットフォームは徐々に淘汰されていくことでしょう。

 今後、製造業向けIoTプラットフォームは、前述の生産管理システムを含めた業務システムとの連携が加速していくことになります。IoT時代は、全てのものがつながることが前提です。そのため、連携の加速は自然な流れである一方、データの互換性などに十分注意する必要があります。

 次回は、VR/ARとロボットについて解説します。