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プラーナー シニアコンサルタント 木下悟志 氏
 自動車のリコール問題や電機製品の市場クレーム問題が日本企業を悩ませ続けています。日本企業に何が起きているのでしょうか。これはまさに総合力に起因する問題で、商品企画や製品開発、生産まで含めて幅広い部分に要因があります。しかし、最も大きな要因はやはり、設計にあると言えるでしょう。

 設計における要因の1つが「ばらつき」です。現に、FMEA (Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)を実施して見つかる課題の5~7割は、ばらつきの問題となっています。これを解消するには、「正しい公差計算」を実施し、「正しい公差設計」を行った「正しい図面」が必要です。ところが、きちんと実現できている企業や設計者は少ないというのが、今の日本の製造業の実態です。つまり、FMEAは実施していても完全解決に至っていないのです。

 これまでは日本の強い現場力が、公差計算と公差設計の不備、すなわち図面の不備をカバーしてきました。しかし、設計・生産のグローバル化が進む今、それが期待できなくなっています。従って、設計情報の伝達手段である図面に記載された公差情報の重要性が増しているのです。適切に公差を設定できるかどうかは、製品の品質やコストに直結します。

 それなのに、現実として公差設計が重視されていない理由は、一般に以下のような要因が挙げられます。

・業務が忙しくて詳細に検討、計算している暇がない
・既存機種の流用設計で済ませている
・少量生産品や要素数の少ない製品では公差計算を省略する

 大切なことは、不具合の原因となるばらつきを抑え、グローバル図面に対応するためには、設計者はこれまで以上に公差設計と幾何公差に精通しておかなければならないということです。でも、恐れるに足りません。ポイントさえしっかり押さえておけば、公差も幾何公差もしっかりと反映された、世界の誰が見ても間違えることのない質の高い図面を描けるようになります。