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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

スポーツ観戦、IT企業が「体験向上」にあの手この手

2016/11/16 00:00

渡辺史敏=ジャーナリスト

 米プロアメリカンフットボールNFLは2016年9月に今シーズンが開幕し、2017年2月6日に開催予定の優勝決定戦「第51回スーパーボウル」に向けて熱戦が繰り広げられている。そんなNFLのシーズンに合わせ、IT(情報技術)の分野からも新たなサービスが続々導入され、関心が高まっている。

ツイッター社が最初にライブストリーミングを実施した、ニューヨーク・ジェッツ対バッファロー・ビルズ戦の様子((C)NFL JAPAN. All Rights Reserved.PHOTO BY AP Image)
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 まず注目したいのが米ツイッター(Twitter)社によるゲーム中継のライブストリーミングだ。ツイッターは今シーズン、現地時間で木曜夜に1試合開催される「サーズデーナイト・フットボール」(TNF)を合計10試合ライブストリーミングする権利を獲得して実施中。日本からも視聴可能だ。

ツイッター社の「サーズデーナイト・フットボール」(TNF)の画面(画面:ツイッター社)
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 最初にストリーミング中継が行われた9月15日のニューヨーク・ジェッツ対バッファロー・ビルズの試合は、全世界からの総視聴者数で210万人を記録した。平均視聴者数は24万3000人、平均視聴時間は22分だった。さらに試合に関するツイートは25万5000回あったと発表された。

 この試合は米国で、地上波のCBSとケーブルチャンネルでNFL傘下のNFL専門局、NFLネットワークでも生中継されており、その合計総視聴者数は4810万人、平均視聴者数は1540万人だった。平均視聴者数を比較するとツイッターはテレビの1.6%弱に過ぎない。視聴時間も非常に少ないように感じられるかもしれない。

 米ヤフー(Yahoo!)社は2015年10月に行われたバッファロー・ビルズ対ジャクソンビル・ジャガーズをライブストリーミングしたが、その際の総視聴者数は1520万人で、平均視聴者数は236万人だった。ツイッターのライブストリーミングは大きく後退したようにも見えるが、メディア業界では逆に「成功」という評価が多い。なぜか・・・。

平均視聴時間は利用時間の7倍

 その理由は、今回のライブストリーミング実施環境を考慮しなければならない。前述したように今回のTNFはツイッターのみならず、テレビで地上波とケーブルチャンネルが生中継した。いわばツイッターは“第3の中継メディア”であり、視聴者獲得において最初から不利な立場にあった。

 さらに昨年のヤフーの場合は、出場チームの地元以外、全世界でテレビ中継が行われない独占契約が結ばれており、このゲームを見るにはヤフーにアクセスするしかなかったのである。

 このためヤフーの契約料が1試合のみで2000万ドルと見られているのに対し、ツイッターの契約料は10試合で1000万ドルと低く抑えられた模様だ。

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