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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

21年契約更新への布石か、NFL試合配信「解放策」の深謀

2018/10/09 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 米4大スポーツの中でも群を抜く人気を誇る、プロアメリカンフットボールのNFL。優勝決定戦の「スーパーボウル」ともなれば、テレビの平均視聴者数が1億人を超える。公式戦でも注目度の高い試合だと2500万人近くの視聴者を集める。

 しかし、米国向けテレビ中継は過去2年連続で視聴率が低下しており、リーグ関係者をやきもきさせている。その原因として、人種差別への抗議として国歌斉唱時に起立せずにひざまずく選手の行動が嫌がられたのではないか、などトランプ大統領をも巻き込んだ議論が繰り広げられ続けている。

 そうした中、現地時間の9月6日に2018年シーズンが幕を開けた。開幕週の結果は、平均視聴者数が1880万人、世帯視聴率は10.7%と昨年の10.1%をわずかに上回り、関係者をほっとさせた。

アマゾンがNFL試合を配信

 そんなNFLの中継で、今後のビジネス展開に変化をもたらすかもしれない動きが注目されている。「ライブストリーミング」である。

 NFLは木曜夜に開催される「サーズデーナイトフットボール」の11試合について2016年に米ツイッターと、2017年からは米アマゾン・ドット・コムとライブストリーミング契約を結んできた。アマゾンは今後2年間で1億3000万ドルをNFLに支払うと見られ、有料のプライム会員向けにストリーミングを実施している。

アマゾンの有料サービス「Prime Video」でのサーズデーナイトフットボールのページ
(図:アマゾン・ドット・コム)
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 またそれ以外の試合に関しては昨年まで4年間にわたって、携帯電話大手のベライゾン・ワイヤレスが公式スポンサーとして同社の端末にのみ配信を行っていた。ただベライゾンはその独占権を昨シーズン一杯で放棄したことが発表されていたのである。

 実際のところ、ライブストリーミングについて視聴制限をかけ、有料視聴者の獲得、退会防止に使う戦略は珍しいものではない。米国で最もポピュラーなのは「TV Anywhere」と呼ばれる方式で、ケーブルテレビや衛星放送のIDを入力すると視聴できるようになるシステムだ。オリンピック中継などで広く採用されている。