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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

NBA、カジノ大手MGMとパートナー契約の思惑と波紋

2018/08/28 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 米国でスポーツ賭博に関連したビジネスの動きが活発化している。背景にあるのは2018年5月14日に、連邦最高裁判所がスポーツを対象とした賭博の解禁を認める判断を下したことがある。

 米国では八百長を招いたり、競技の純粋性を損なうなどの理由から1992年に連邦法「プロ・アマスポーツ保護法(PASPA)」が制定され、その時点でスポーツ賭博を法整備していたネバダ州、モンタナ州、デラウエア州、オレゴン州の4州を除く全ての州では違法とされた。こうしてカジノ産業が盛んなネバダ州でのみスポーツ賭博が行われてきたのである。

NBAとMGM Resortsがタッグ

 しかし、財政難から新たな財源を求めるニュージャージー州が2012年にスポーツ賭博を合法化する法案を可決。これに対しMLB、NBA、NFL、NHLのいわゆる4大プロリーグと全米大学体育協会(NCAA)がニュージャージー州のスポーツ賭博合法化はPASPA違反として訴訟を起こしていたのである。今回、最高裁は判事9人のうち、賛成6対反対3の評決で、PASPAでスポーツ賭博を禁ずることは違憲との判決を下したのだ。

 こうして既存の4州とニュージャージー州、デラウェア州、ミシシッピ州の計7州では既にスポーツ賭博は合法化され、さらに12の州で合法化の審議が進められている。

MGM ResortsがNBAの公式ゲーミングパートナーとなる契約を結んだことを伝えるプレスリリース(図:MGM Resorts)
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 こうしたなか、7月31日にNBAがカジノを含むいわゆるIR(統合型リゾート)大手でスポーツ賭博事業も運営するMGM Resortsを、NBAと女子のWNBAの公式ゲーミングパートナーとする契約を結んだと発表したのだ。4大プロリーグでスポーツ賭博に関する契約を結んだのはNBAが初めてだ。MGMはリーグのハイライト、ロゴなどの使用、データの直接配信を受ける権利を得る。スポーツ専門局ESPNによれば、契約は3年でMGMは2500万ドル以上を支払う模様だ。

 アダム・シルバーNBAコミッショナーは会見で「米国のスポーツ賭博環境が急速に進展する中、MGM Resortsは画期的なパートナーシップを組むための、実績のあるゲーム業界のリーダーです。私たちのコラボレーションにより、正確でリアルタイムのNBAとWNBAのデータを使用し、ゲームの完全性を維持、強化することで、消費者にとって最高のゲームとエンターテイメント体験がもたらされるでしょう」と語っている。

 前述のようにNBAはPASPA違反訴訟の原告だったが、次第に態度を変え、むしろスポーツ賭博を新たな収益源と考える立場を取るようになっていた。それが今回の迅速な契約に結びついたようである。