記事一覧

渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

複合医療設備や高級会員組織・・・NFL強豪の先端複合施設

2018/08/03 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 プロアメリカンフットボールNFLのダラス・カウボーイズは過去5回の優勝を誇る強豪チームだ。全米レベルでの人気の高さから「アメリカズ・チーム」とも呼ばれている。そのカウボーイズが2016年から開発を進めているのが、チーム本部を核とした複合施設「ザ・スター」である。

ダラス・カウボーイズが開発を進めている、チーム本部を核とした複合施設「ザ・スター」のWebページ(図:ダラス・カウボーイズ)
[画像のクリックで拡大表示]

 ザ・スターはダラスのダウンタウンから約40km離れたフリスコ市に位置する。約37万平方メートル、東京ドーム約8個分という広大な敷地にまずチーム本部ビルが造られ、2016年にチームが移転した。その名はチームロゴがテキサス・ローンスターと呼ばれる星形であることに由来する。

 チーム本部には、2つの屋外練習フィールド、豪華なロッカールーム、ウエイトトレーニングルームのほか、アメリカンフットボールには欠かせない映像設備の整ったミーティングルームは30も設置された。また、チーム関連番組を制作するためのテレビスタジオも設けられている。

地元高校が試合に使える屋内型フィールド

 しかし、それ以上にユニークなのが「フォード・センター」と名付けられた屋内型フィールドだ。この施設はカウボーイズにとっては屋内練習場だが、1万2000席のスタンドとビデオボードを備えており、実質的に屋内型スタジアムとしての機能を有している。

 カウボーイズは地元の高校学区と提携しており、カウボーイズが使用しない時には8つの地元高校が試合を開催しているのだ。テキサス州は映画やドラマになるほど高校のアメリカンフットボールが人気で、この規模のスタジアムが必要とされているのだ。

 ただ、NFLのチームがこのような施設提供で地元の学区と提携するのは非常に珍しい例である。この点についてカウボーイズのジェリー・ジョーンズ・オーナーは自身が大学までアメリカンフットボール選手だったことから、「高校のオールスターゲームでプレーすることを誇りにしていた」と語り、高校でのプレー経験がきっかけになったと語る。

 その上でこの提携は「プロスポーツがアマチュアスポーツの成功の大きなファシリテーターになる可能性を実証している。高校生のクオーターバックがそこに来れば、練習を終えてフィールドを去る(スター選手の)ダック・プレスコットを見るだろうし、会話もできるかもしれない」と、提携によって生まれるであろう効果についてコメントしていた。

88ドルで一般人も巨大施設を使える

 5つの優勝トロフィーをはじめ、チームの栄光の歴史や過去の名選手を紹介した設備も充実している。なかには全32チームのヘルメットが飾られ、その週の試合に合わせカウボーイズと対戦チームのヘルメットがライトアップされるといった演出もある。こうした施設を巡る有料見学ツアーも実施されている。

 もちろんザ・スターの施設はチーム本部だけではない。隣接するビルには「カウボーイズ・フィット」と名付けられた一般向けフィットネスセンターも設けられている。1カ月88ドルからの会員制で、一般人も5600平方メートルという巨大施設を利用可能だ。さらにこの施設を高い人気を誇るカウボーイズのチアリーダー・チームが本拠にしている。

 エンターテイメント地区と呼ばれる商業施設としては、20のレストランを含み、物販や賃貸オフィスの数は91にも及ぶ。チームが使用していない時のミーティングルームのレンタル事業も行われている。また16階建ての高級ホテルも建設された。