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渡辺史敏の「米スポーツ産業ヘッドライン」

5G、スポーツ体験変革への大きな期待と物足りなさ

2019/04/24 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 2019年4月初頭、韓国と米国で世界の先陣を切って、次世代の移動通信システム「5G」の商用サービスが開始された。それに伴い、米国のスポーツ界でも5Gを活用した新たなサービスへの取り組みが始まっている。

NBAのサクラメント・キングス対ロサンゼルス・レイカーズの一戦では、5Gを使ったVRライブストリーミング配信のデモを行った
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 3月25日、プロアメリカンフットボールNFLは携帯電話大手のベライゾンと、5Gやその他の新技術を利用してNFLの試合と総合的なファン体験を向上させる新製品やサービスを開発する2年間のパートナーシップ契約を結んだ。

 ベライゾンはこれまで10年以上に渡ってNFLの公式携帯電話スポンサーとなってきたが、それに加えて5Gに焦点を当てた「公式5Gイノベーションパートナー」になったとしている。米国の大手プロリーグで5Gのパートナー契約を結んだ初の事例となった。

スタジアム体験、モバイルゲーム、ストリーミング

 このパートナー契約では、大きく3つの柱を設定している。1つめは「スタジアムでの体験」。5Gの能力を活用し、スタジアムでのファン体験を向上させるためにデザインされたモバイル機能を両者が共同開発する。

 2つめは「5Gモバイルゲーミングチャレンジ」。両者が5Gを利用する、NFLをテーマにしたモバイルゲームの開発をゲーム企業に働きかけるという。5Gの特徴である低遅延性を活かした、より高品質なゲームの開発が期待されている。

 3つめは「新たなビデオストリーミング技術」。ベライゾンは高容量の5Gを利用することで、新たなファン体験とアプリケーション開発のためのビデオやメディアの規格を開発するとしている。VR(仮想現実)はその大きな候補となるだろう。

 ベライゾンはこれまでもNFLの試合中継をライブストリーミングするなどしており、そうしたサービスの品質向上や拡大が期待されている。ベライゾンのハンス・ベストバーグCEOは発表で「今回のパートナーシップはベライゾンの5G技術を使用して、NFLのファンがどこにいてもお気に入りのチームの情報を閲覧、共有、参加するための、新しくエキサイティングな機能を公開する予定です。5Gはリビングルームからスタジアムまで、スポーツの体験を変えることでしょう」と意気込みを語っている。

 ロジャー・グッデルNFLコミッショナーも「ベライゾンとのパートナーシップは、ファンに対してNFL関連の信じられないほどのアクセスと経験を提供してきた。ベライゾンとのイノベーションパートーナーシップは世界中の何百万人ものファンに再び多くの利益をもたらすだろう」と期待を見せた。