消えたシリコンサイクル

 スマートフォンが世の中の必需品となった結果、製造業を取り巻く環境も大きく変わりました。まず、昔から業界でいわれていた“シリコンサイクル”という言葉がなくなりました。シリコンサイクルとは半導体業界の景気サイクルのことで、過去40年近くにわたって4年ごとに景気循環を繰り返してきました。これは技術革新とパソコンやサーバーなどの買い替え需要に起因するものでした。

 ところがスマートフォンが必需品となった結果、せいぜい「一家に1台」だったコンピュータが、「1人に1台」の存在になりました。1人に1台どころか2台、3台のスマートフォンを持っている人もザラにいます。買い替え時期はスマートフォンの方がパソコンよりもずっと短く、iPhoneも1年から1年半ごとに新モデルの発表があります。そして新モデルごとに、関連サプライヤーには大量の仕事が舞い込みます。

 しかも、スマートフォンのメーカーは米Apple社だけではありません。韓国のSamsung Electronics社や台湾のASUS社の機種は日本でもよく売れています。それ以外にも中国のHuawei Technologies社やGuangdong Oppo Mobile Telecommunications社(OPPO)など、世界的に高シェアを持つスマホメーカーが多数存在します。

 このようにスマートフォンが世界中で一気に必需品となった結果、シリコンサイクルという言葉そのものがなくなったのです。さらに、スマートフォンのメーカーはモデルチェンジのたびに「より高性能に」「より高機能に」「より軽く」といった技術革新を競い合っています。組み込まれる各種電子部品やセンサー、カメラモジュールなどもどんどん小型化して、高い実装密度で組み込んでいくことが求められています。

 こうした時代の流れと、微細加工技術はどのように結び付いていくのでしょうか?

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