ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
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 2017年10月、三菱自動車が日産自動車から出資を受けた。これからは筆頭株主となった日産自動車の流儀が三菱自動車に持ち込まれる。「日産自動車はモデルチェンジのたびに生産拠点を白紙から見直す。決め手はコスト。工場間で競わせ、最も合理的な工場に生産を移す。三菱も厳しい工場間競争にさらされる」(11月29日付日本経済新聞)と報じられている。

 ここまで厳しくなくても、社内には適度な緊張感が必要だ。「設計力」と「現場力」もしかり。適度な緊張感の下、切磋琢磨し合うと互いに成長する。互いに足りないところを補完し合いながら成長するのである。なれ合いは許されない。私の経験を紹介しよう。

 入社後しばらくして、初めて量産図面を担当したときのことだ。私は日程会議に量産図面を持って臨んだ。日程会議とは、設計や品質、生産技術、生産、生管(生産管理)、企画など関係部署が一堂に会して、量産図面を基に、部品手配や生産工程準備についてのスケジュールを検討する場である。

 私が図面を配布して説明を始めると、生産技術の課長が突然、「こんな図面でものを造れると思っているのか!」とすごい剣幕で私を一喝した。図面に検討不十分な箇所があったのだ。当時はまだ設計段階からのコンカレント活動は行われておらず、生産現場の知恵が図面に反映されていなかった。