ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
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 数日前、自動車部品メーカーの人材育成担当者から、デザインレビュー(DR)に関して相談を受けた。具体的には、より効果的なDRを実現するための人材育成についてであった。

 これまでDRは「気づきの活動」であり、「総智・総力を注ぐ活動」である旨を述べた。DRの定義は「それまでに行われた設計力の活動に対し、DRという限られた時間と場所で行われる総智・総力(=設計力)の活動」である。つまり、DRは「設計力」を踏まえた取り組みであり、DRを効果的にする人材育成も「設計力」を踏まえなければならない。

 DRの仕組み、すなわち構成要素は7つある。[1]DRの対象、[2]実施タイミング、[3]対象を構成する項目、[4]項目の内容、[5]メンバー構成と役割、[6]運営、[7]水平展開、だ。これらに設計力を反映させる。つまり設計力を踏まえ、DRの構成要素の実施要領をルール化すると、より効果的なDRが期待できる。

 ただし、この中にルール化に適さない構成要素がある。[4]の項目の内容だ。項目の内容とは、DRの場に用意される「それまでに取り組んだ技術的検討の中身」である。項目の内容以外の構成要素は、設計する製品が異なっても共通のルールで対応できる。ところが、項目の内容は製品ごとのオリジナルなものであるため、ルール化には適さないのだ。

 従って、項目の内容には7つの構成要素の中でも特にしっかりと取り組む必要がある。技術的な中身のレベルは言うまでもなく、設計力のレベルが直接反映される。つまり、個人・職場の設計力を高めれば項目の内容のレベルが高まり、DRがより効果的になる。

 実は、この項目の内容の準備段階で既にDRはスタートしているのである。項目の内容の準備とは、DRのメンバーが項目の内容を理解するための資料を作成することだ。必要十分な資料にしっかりとまとめようとすると、その過程で担当者に気づきが起こる。このように、準備段階でDR(=気づきの活動)はもう始まっているのだ。

 実は、DRではこの準備段階が大変重要である。私の経験では資料作成の際に多くの気づきがあるため、その大切さを実感している。逆にしっかりとまとめなければ、担当者自身が検討抜けや検討不十分な点があることに気づかない。担当者がDRの場に抜けが多い資料を準備して臨んだら、「残された1~2%の課題を見つけて解決する」というDRの狙いから外れる。これではメンバーは貴重な時間を浪費しただけということになりかねない。

 加えて、資料はしっかりまとめるだけではなく、分かりやすくまとめることが大切だ。DRのメンバーが内容を理解できなければ気づきはない。設計者だけが理解できるような、唯我独尊の資料は避けなければならない。

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