ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
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 三菱自動車の燃費不正問題で、同社が再測定においても不正な方法を採っていたことが分かった。件の問題が発覚し、同社社長が謝罪会見を開いた2016年4月20日の後のことだ。国土交通省は同年9月15日、「測定結果をかさ上げしようとした、常軌を逸する事態」との極めて厳しい文言の検査報告書を公表した(9月16日付日本経済新聞)。事態はまだまだ収束しそうにない。

 この不正問題で私が問題視しているのは、「開発途中の設計目標値の変更」だ。報道によれば、「燃費目標値が開発途中で変わったことがこの問題の背景にある」という。これが事実だとすれば大変なことだ。開発途中の目標値変更は通常は避けなければならないと私は考えているからである。

 先(第7回)のコラムで、「設計目標値」は製品の良し悪しを決め、顧客が製品を受け入れるかどうかを決める。さらに言えば、競合メーカーに勝つか負けるかまでも決める、と述べた。設計目標値が決まると、関係者は全員、それを達成するためにひたすらに取り組む。開発期間が1年間であろうが2年間であろうが関係はない。開発途中での目標値の変更はあってはならないのだ。

 逆に、変更しなければならない状況に陥ることを防ぐために、目標値を設定する際には根拠を明らかにする必要がある。「明らか」とは、定量的な根拠を示すということだ。そのため、目標値の設定には時間がかかる。製品の重要度にもよるが、開発途中に目標値を変更する影響の大きさを考えると、設定に半年や1年といった時間をかけても惜しくはない。

 ここで、設計目標値である「Q(品質)」「C(コスト)」「D(納期)」のうち、コスト設定の取り組みを紹介しよう。

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