ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
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 「日経Automotive」の2017年10月号が届いた。そこには、クルマの自動運転化への取り組みと、ドイツVolkswagen(VW)社の排出ガス不正が大きく取り上げられていた。それぞれ独立の記事で特に関連付けはされていないが、私は両記事には共通点があると感じた。それは「ダントツ」への思いである。

 自動運転化では、自動車メーカーが、人工知能(AI)や半導体といった専門分野に特化した企業と手を組む動きが活発だ。たとえその企業がベンチャーであったとしても、世界中の自動車メーカーが声を掛ける。なぜなら、その企業の部品や製品がダントツだからだろう。自動車メーカーはその企業の製品を取り込み、他社に先んじてダントツのシステムを世に出せば、多くのお客様の満足を得ることが可能となる。

 一方、VW社の排出ガス不正は、ダントツの「クリーンディーゼルエンジン」を多くのお客様に届けたいという思いがあったようだ。そうすれば、販売台数を世界一にできると。すなわち、ダントツのシステムへの思いという言葉だけを切り取れば、上記の例と同じだろう。ただ、取った手法は不正なディフィートデバイスだった。

 職場で「ダントツ」と言うかどうかには関係なく、開発の基本スタンスはダントツを達成する取り組みなのだ。もちろん、ダントツにはさまざまなレベルがある。「あの(競合)企業にはコストで負けたくない」。勝てば、その競合企業に対してはダントツの存在になる。もっと視野を広げると、「日本の企業には負けたくない」ということになる。だが、何と言っても、究極の目標は「世界でダントツ」だ。