ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
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 キヤノン電子(本社東京)が2017年6月23日に小型人工衛星の打ち上げに成功した。拡大する宇宙市場を開拓していくのであろう。名古屋市にあるPDエアロスペースは、有人宇宙機開発に取り組んでいる。大手企業も出資しており、今後の展開が楽しみだ。共に大きなチャレンジで、こうした取り組みがあるからこそ、市場が生まれるのである。

 車載製品も同じだ。クルマは数多くの製品から成る。さかのぼると、その全ての製品に初めて創るチャレンジのタイミングがあったはずだ。この開発へのチャレンジが新たな製品を生み出し、その後の進化を促す。その結果、市場が成長したのだ。今回は車載製品の進化と市場の成長を取り上げよう。

 車載製品は進化(新規性のレベル)により、次の4つに分類できる。

[1]革新的な製品
[2]次世代製品
[3]次期型製品
[4]類似製品 

 これら4つに分類された製品は、成長サイクルの中で関連しながら動いていく。まず、それぞれの製品の新規性について述べる。

 [1]の革新的な製品は、これまで世の中になかった製品である。全く新しい発想や技術の組み合わせで商品化されることが多い。研究によって醸成されたシーズが、ニーズと結びついて製品化された場合などもこれに該当する。

 事例の代表格は、電子制御式燃料噴射システムだ。20世紀末の深刻な大気汚染の解消に大きな役割を果たした。最近では、「走る」に関しては追従走行、「曲がる」ではステア・バイ・ワイヤー、「止まる」では自動ブレーキ、安全については電子ミラーやポップアップフード、利便性では拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレー、環境では燃料電池システムなど、数多くの革新的な製品が生まれている。

 革新的な製品のインパクトが大きいのは、世の中の流れをガラリと変える可能性があるからだ。そうした開発の機会は多くはないが、巡り合えば、技術者冥利に尽きるだろう。

オールメカからオール電子へ

 [2]の次世代製品は、機能や性能、方式などを「2ランク」高めた製品である。どれほど革新的な製品であっても、競合製品の状況や市場の動向、そして技術の進歩から、10年も経てば“過去の遺物”となる。そうした状況に陥る前に、製品を中長期の視点から検証し、ネック技術(新たな技術)を大きく交代させる製品開発に着手しなければならない。

 代表例には、第1世代から第4世代まで進化した、エンジンの点火時期制御(ESC)がある。第1世代はオールメカ方式で、フロントフードを開けると、点火コイルとディストリビューターと呼ばれる金属の塊が見えた。第2世代は一部が電子化された。高電圧を発生するメカ接点がパワートランジスターに置き換わったのだ。

 第3世代は、点火時期のタイミングがメカ制御(ガバナーとバキュームコントローラーによる制御)からエンジンコンピューターによる高精度な制御へと進化した。そして、第4世代は、最後に残ったメカ機構のディストリビューターが廃止された。点火コイルを点火プラグに直結したことで、この製品は役割を終えた。こうして、およそ30年間でオールメカがオール電子化されたのである。

 この次世代製品は、職場の開発製品(設計変更品ではなく、新品番を取る製品)の中で、そう多くはないはずだ。せいぜい1%程度であろう。

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