ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
[画像のクリックで拡大表示]

 2017年がスタートした。この1月9日まで休みだった企業もあると聞く。まだお屠蘇(とそ)気分が抜けきれない読者もいるだろう。今回は連休にまつわる私の経験を紹介しようと思う。年初ということもあり、さらっと読んでいただきたい。

 私は自動車部品メーカーの技術部で車載製品の設計を担当していた。30歳になったばかりの頃のことだ。当時、米国のマスキー法から始まった厳しい排出ガス規制が世界を席巻し、日本では「53年規制」が、欧州でも同様の規制が始まった。これらの規制により、排出ガス成分の排出量の低減がどんどん厳しく求められるようになり、どの自動車メーカーでも排出ガス浄化システムの開発と導入が重要課題になっていた。日本の社会もまた排出ガスによる大気汚染の問題に敏感になり、自動車に乗る一般の人たちの間でも排出ガスの浄化に対する関心が深まっていった。

 当時はまだ電子制御式燃料噴射装置(EFI)システムが実用化されたばかり。従って、ポンプを使って空気を排気管へ強制的に送り込み、未燃ガスを燃焼させる2次空気系システムが主流だった。このとき私が設計を担当していたのが、2次空気関係のコンポーネントだった(なお、ここで設計した商品は後に欧州車に採用された)。

 ある年の初夏、市場から壊れた製品が返却されてきた。壊れ方から偶発的に起こるものではなく、ある一定の確率で起こり得る不具合であると判断できた。当時の設計現場では、どのような製品であろうと1台でも不具合が見つかれば、原因究明から暫定対策、さらに本対策までを最優先で処理することが常識になっていた。そこでは「設計者は解決に向けて最大限の取り組みを行うべし」という風土が出来上がっていたのだ。