中国パネルメーカーの有機ELへの投資意欲が旺盛だ。スマートフォン用などの中小型パネルでは、設備投資の対象を液晶から有機ELへ切り替え、先行する韓国メーカーのキャッチアップを狙う。テレビ用の大型パネルでも、液晶から有機ELへの転換を真剣に検討し始めた。有機ELの積極投資へ走る中国メーカーの狙いや課題について、中国のフラットパネルディスプレーの業界団体である、中国光学光電子行業協会 液晶分会 副秘書長の胡春明氏に聞いた。(聞き手は田中直樹)

中国光学光電子行業協会 液晶分会 副秘書長の胡春明氏
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――中国メーカーは、有機ELへの投資に対して非常に積極的です。

 中国は現在、フラットパネルディスプレー(FPD)で10%強の生産量シェアを持っています。このシェアを高めるための新技術が各社の関心事であり、そこへの投資は不可欠だと考えています。そこで有機ELなのです。

 有機ELには、FPDの世界トップ2社である韓国のSamsung Display社とLG Display社が力を入れています。そして、米Apple社が「iPhone」に採用するという噂があります。スマートフォン市場において液晶から有機ELへのパラダイムシフトが起こる可能性は高いと中国パネルメーカーは考えており、これが有機EL投資に走らせる原動力になっています。

 表示性能については、実は、現在の有機ELは液晶に対してそれほどメリットはありません。しかし、現時点まで価格差もほとんどないので、価格がネックになることもありません。

 スマホ用パネルの価格ですが、有機ELと液晶の差は急速に縮まっています。1年前は15米ドルの差がありましたが、今では1米ドルの差しかありません。液晶と有機ELの競争の結果、2016年中に両者は同じ価格になるだろうと見ています。

 もし2018年に発売される新型iPhoneへの有機EL採用が決まったら、有機ELのシェアは爆発的に増えるでしょう。もし有機ELパネルの供給能力の都合で、新型iPhoneの一部への採用にとどまる結果になったとしても、一度採用が決まれば、その後有機ELの利用は急速に広がると思います。

 中国も含めて、世界のパネルメーカーは、テレビやスマートフォンの市場が飽和傾向にあることを懸念しています。そこで、新技術・新商品・新概念はどこにあるかを、強い関心を持って探し続けています。有機ELは、この新技術・新商品・新概念の1つだといえます。なぜか。決め手はフレキシブルです。有機ELでフレキシブルを実現することで、ディスプレーやそのアプリケーションをもっと新しいものへ発展させようと、皆が動きます。こうした動きに、中国のパネルメーカーも追いついていくという考えです。

 プレーヤーが増えつつあることも、有機ELにとって追い風です。中国では、3年前にBOE Technology Group(京東方)社がオルドス市に有機EL工場を立ち上げました。このとき、スマートフォン用に有機ELパネルを供給しているのは、韓国Samsung Display社のほぼ1社だけという状況でした。1社では、市場を牽引できません。しかし、状況は変わりました。

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