技術論文におけるヤマ場の作り方

 第10回の通り魅力あるタイトルが決定したら、次は、第11回の書き出しで勝負する。ここまで理解できたら、後は本当に中身で勝負です。新人設計者のあなたが壇上でプレゼン中、いよいよヤマ場に差し掛かったことを会場の聴衆に示す予告サインがあります。このサインによって聴衆は身構え、あなた自身も一層の気合いが入る大事な箇所です。そのサインとは次の通りです。

①さて、どうなったでしょうか?
②ここまでは、うまくいったのです。しかし、現実は——。
③この後、予想もしないトラブルに見舞われました。それは——。
④(あなたのアイデア)

 図2を見てみましょう。この図は技術論文か、もしくは壇上でのプレゼンに使用するパワーポイント資料です。この資料の「承」に相当する原稿の最も下に、先のサインを直接記入しましょう。慣れた方やベテランは、文章の流れや口調でそのサインを伝えることができると思いますが、そこまで到達するには時間がかかります。若手の設計者はそこまで上達する必要はありません。

 従って、前述のサインを直接記述してしまいましょう。これが「技術者におけるヤマ場の作り方」のコツです。なお、筆者がよく使う予告サインは先の①~③の3種類です。④にはあなた流のオリジナルなサインの文言を加えて下さい。

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図2●ヤマ場へ入る予告サインを入れる場所

 一方、技術論文の場合は、プレゼン資料よりも堅めの文にすることを勧めます。

⑤以上の試行錯誤を経て、次は結果に入ります。
⑥ここまではうまくいったのですが、現実は異なりました。
⑦この後、予想もしないトラブルに見舞われました。

 この代表的な例が、あの有名なテレビ番組「プロジェクトX」です。世間に大きなインパクトを与えた人気番組でした。関東では、毎週日曜日の夕食が終わる頃のゴールデンタイムに放映されていました。主人公は各企業で大活躍され、引退した元技術者達です。2000年3月~2005年12月まで通算187のタイトルが放映され、多くの技術者がスタジオに招かれました。 

 当事務所の分析によれば、この番組のほぼ100%が「起承転結」で構成されています。そして、ほぼ100%、「転」に入る直前にナレーターが先の①~③のサインを入れます。その後、フェードアウトするとともに、その番組特有のブレーク画像が流れます。ちょっとしたブレーク、つまり、「中断」や「間」を入れると、さらに効果が高まります。

 若手設計者のあなたも、この「予告サイン+ブレーク」にチャレンジしてみましょう。「ブレーク」に関しては、第13回の「ブレーク型プレゼン」で既に、解説済みです。後は実践あるのみです。何事も恐れず、恥ずかしがらずにトライしましょう。何度も失敗が許されるのは、若手設計者のうちだけですよ。