エリック・リース 著/井口 耕二 訳/伊藤 穣一(MITメディアラボ所長) 解説(日経BP社)
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 スタートアップの目的は、起業家が持つアイデアを消費者が使う商品として具現化することである。この実現のために、2つの疑問に答えないといけない。それは、「どんな商品を作ればいいのか」、そして「顧客は誰なのか」ということだ。

 自分のアイデアに夢中になっている起業家は、この2つの疑問に対する答えを知っていると思い込む場合が多い。しかし、確実にこの質問に答えるためには直感だけに頼ることはできない。正しい答えを探すためには、消費者に対する「実験」が必要である。その実験を計画して実行し、結果から学ぶというサイクルを回し続け、誰のためにどんな製品を届けるのか、ということを明らかにするのがスタートアップの仕事と言える。ただし、失敗したときのリスクを考慮して、コストが安く、結果をすぐ得られるような「速い」実験を行う方がよい。

 

 こうした考え方が、シリコンバレーの起業家であるエリック・リース氏が勧める「リーンスタートアップ」という経営哲学である。リーンスタートアップについてリース氏が書いた書籍がベストセラーになった2011年以降、この考え方がシリコンバレーの起業家と投資家の間で広まっている。その背景にあるのは、エレクトロニクス業界やIT業界を取り巻く環境の変化である。