設計者が現地で実感する

 現地に数日行っただけでも、これだけの市場分析ができました。こうした体験は、設計者にとってとても貴重な体験だと思います。

 「現地現物」──。これが、私が自動車メーカーに入社して最初に教わった言葉です。まさにこの言葉の通りだと思います。自分で見て、感じて、考えて、その国のお客様にあったものを開発する。現地に行くということは、本当に重要なことだと痛感しました。

 私は当時エンジンの開発を行っていました。エンジンにはさまざまなセンサーが付いています。常にエンジンの状態を把握し、エンジンコンピューターで適切な状態を保って、ドライバーの意図したエンジン出力を出すなどのエンジンシステムを構築していました。先の中国の地方にある道路であれば、路面状態が荒れているためにセンサー出力が誤作動してしまう可能性があります。

 では、システム構築時にどの程度荒れた路面に対応できればよいのでしょうか。それは実際に販売する国で最大に荒れた路面の基準を定義し、その路面状態でセンサーが誤作動しないようシステムを構築しながら、評価をしなければなりません。この基準を定義するために設計者が実際に路面を確認し、走らせて、身体で感じることが最も重要なのです。

 私はコンサルティングを通して、「設計者が机に座っているだけで仕事が完成するのではない。設計するための前提条件を設計者自身が肌で感じてほしい」ということを伝えています。読者の皆さんもぜひ市場を確認し、その内容を設計に活かしてください。