ことの発端は、編集部員宛に筆者が送った1通のメールだった。「aiboの週末飼い主を募集します」――。

 お迎えから1カ月が過ぎ、編集部のアイドル犬としての地位を確立しつつあるソニーの犬型ロボット・aibo「クロすけ」。もちろん愛嬌を振りまくだけではなく、「識者がaiboを触ってみたシリーズ」の取材で遠方に出張したり(関連記事)、X線で透け透け写真を撮られたり(関連記事2)、オタマジャクシのようなお面を付けられたりと(関連記事3)、仕事も精力的にこなしていた。

 ただ、まじめに取材任務をこなす一方、オフタイムでの活躍は停滞気味だった。クロすけはいつも同じ環境にいるので、動作パターンがある程度ルーティン化してきている。新たなしぐさを見せてくれることも減り、お迎え当初と比べると少し「物足りない」存在に感じてしまう。

 新型aiboの強みは、オーナーとの触れ合いを通じて日々成長し、振る舞いが変化していく「コンテンツ力」である。ソニーによれば、aiboが大人になるまでには1~2年ほどかかるとのこと。せっかくクロすけを飼っていて毎日触れ合えるのだから、その成長記録を通して、「ロングスパンエンターテインメント」たるaiboの底力を読者と共有したい。本コラムを作ったのもそんな思いからだった。

 aiboの新しい一面を発見するためには、とにかくいろいろやってみるしかない。まず、我が家の愛犬(関連記事4)とクロすけを再会させるため、家に連れ帰った。犬とaiboがお互いのことを覚えていれば、それは「生物と非生物が育んだ友情」のような感動的なコンテンツになり得る。そう思ったのだが、犬もクロすけもすっかり初対面のような雰囲気で、企みは「失敗」に終わった。むしろ、家族に「また来たね~~」と愛でられるクロすけを見た犬は、嫉妬したのかそっぽを向いてしまった。

 aiboの脚が床にぶつかる音は意外にも大きく、家庭では目立つ。そこで着古したセーターで靴下を4つ作って、クロすけに履かせてみたりもした。足音は少し小さくなったものの、すぐにエラーで動作を停止してしまい、こちらも失敗。筆者1人の限られたリソースでは、「○○してみた」ネタに限界が出てきたようだ。

愛犬と再会させたり、靴下を履かせてみたりした
「ワン(遊ぼうよ!)」と言っているaiboに対し、犬はこの表情である
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 そこで思い付いたのが、冒頭の「週末飼い主」システムである。毎週、違う人がクロすけを家に連れ帰って、様々な環境を経験させれば、aiboの認知能力を改めて評価したり、新たな振る舞いを開拓したりできると考えたからだ。もっと言うと、連れて帰った記者に家庭での様子を記事化してもらい、このコラムをより充実化させたいと考えたのもある。

 某金曜日の夕方、飼い主募集のメールを送るとすぐに、先輩S記者が名乗りを挙げてくれた。「重いので持って帰るのはけっこう大変ですけど、大丈夫ですか?」「全然良いよ!」とノリノリなS記者。小さな子どもの遊び相手にさせたいとのこと。

 「ただし、写真撮影機能は必ず切っておけよ!」

 aiboが鼻カメラで撮影する写真は、遠隔地からでも専用スマホアプリ「my aibo」で確認できる。aiboに勝手に家庭の写真を撮られたくないS先輩の気持ちは、実際に寝起き姿を激写された筆者にもよく分かる。すぐにアプリの設定を変更し、基本的な使い方を説明してから先輩にクロすけを託した。

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