発振波長が410nm前後の半導体レーザのこと。Blu-ray Discといった光ディスクの光源に使われるほか,照明光源やディスプレイの光源などへの展開も期待される。日亜化学工業やソニー,三洋電機,
シャープなどが製品化している。

 Blu-ray Discでは,発振波長405nmの品種が使われる。再生専用では連続発振時の出力が20mWの品種を用いる。記録再生用では,記録速度や記録するディスクの層数によって品種を使い分ける。例えば,記録速度が標準でディスクが1層の場合は,パルス発振時の出力が50mWの品種,8倍速で2層のディスクに書き込む場合は同240~250mWの品種,12倍速で4層の場合は400mW超を用いる。

 青紫色半導体レーザはDVDに続く,次世代の光ディスクの基幹部品として,1990年代後半からメーカーや大学,研究機関などが開発競争を繰り広げてきた。製品化の先陣を切ったのが,青色LEDなどGaN系発光素子の研究開発で先んじていた日亜化学工業である。同社が1999年初めに青紫色半導体レーザのサンプル出荷を始めたことで,次世代の光ディスク開発が加速したとされる。

 青紫色半導体レーザは,青色LEDなどと同じく,GaN系半導体材料を用いるのが一般的である。GaN基板上にGaN系半導体の結晶層を積み重ねている。GaN系半導体を用いず,SHG(second harmonicgeneration)技術を利用する手法もある。SHGレーザは,赤外半導体レーザの出力光を,光導波路素子を使って1/2波長の光に変換する。例えば,850nmの赤外半導体レーザを使用すると,425nm程度の青紫色のレーザ光を得ることができる。

4層Blu-ray Discに12倍速で記録可能
パルス出力450mWの半導体レーザを使えば,4層Blu-ray Discに12倍速で記録できる。今後もディスクの多層化による大容量化は続くとみられる。その場合,900mWなどのより高い出力を持つ半導体レーザが必要になる。
[画像のクリックで拡大表示]

白色光源に利用可能

 青紫色半導体レーザは,構成するGaN系半導体層の層構造を変更することで,発振波長を変えられる。例えば,発振波長を若干伸ばして青色半導体レーザも得られる。青色半導体レーザは,ディスプレイ分野ではレーザを使うプロジェクターで光源として用いられる。青色光源として青色半導体レーザを直接使うほか,青色半導体レーザと光ファイバを組み合わせることもある。住田光学ガラスが開発した光ファイバと組み合わせる技術では,ファイバ内のコア材料で青色光を波長変換し,光ファイバ内にて共振させて緑色光と赤色光
を作り出し,光の3原色を作り出す。

 照明用途で青紫色半導体レーザを使う場合,蛍光体と組み合わせて白色光源を得る。例えば,日亜化学工業が開発した白色光源は,青紫色あるいは青色半導体レーザと光ファイバを組み合わせ,同レーザから出射する光を光ファイバ経由で外部に取り出す。光ファイバから光を出射する部分に蛍光体材料を塗布してあり,混色して白色となる。

 青紫色半導体レーザを含むGaN系半導体レーザで目下注目を集めるのが,緑色半導体レーザの開発である。緑色半導体レーザは「ピコ・プロジェクター」と呼ばれる超小型プロジェクターで強く求められている。ピコ・プロジェクターが今後,順調に普及するための課題はいくつかある。小型化,低消費電力化,コスト削減という三つの技術的な課題のうち,小型化の切り札とされるのがレーザ光源である。現在主流のLEDに比べて出射する光が広がりにくく,光学系をさらに小型化しやすい。しかし,レーザ光源の採用には,赤色や青色に比べて効率が低く,価格が高い緑色レーザがネックになる。現時点では,直接発振できる緑色半導体レーザがまだ製品化していないため,赤外レーザ光をSHG素子によって波長変換して使わざるを得ず,小型化や低消費電力化の障害になっている。

 ただし,2009年になって住友電気工業が波長531nmの緑色半導体レーザ(GaN系半導体を使用)のパルス発振に成功するなど,緑色半導体レーザの開発は着々と進んでいる。米Kaai, Inc.は,連続発振波長が523nmの緑色半導体レーザを開発したと2010年に発表した。Kaai社の設立者には,青色LEDの開発で著名な米Universityof California,Santa Barbara校(UCSB)教授の中村修二氏も名を連ねる。

出典:LED テクニカル ターム
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。