用語解説

 「HAP(Hydroxyapatite)」とも呼ばれるリン酸カルシウム系のバイオマテリアルで,化学式はCa10(PO46(OH)2である。最大の特徴は,人間の骨の成分に近いことから生体親和性が高いこと。天然では、フッ素燐灰石として大量に採鉱され,生体では脊椎動物の歯や骨,貝殻などにも存在する。また,Caとリン酸を湿式合成または水熱合成することで人工的にも製造できる。合成後のハイドロキシアパタイトは,無味,無臭で比重3.16の白色粉末である。

人口骨,食品添加物,触媒など多様な用途

 用途としては,生体親和性が高いという特徴を活かして,人工骨,人工歯根(インプラント),歯科用研磨剤や充填剤といった医療用に多用されている。また,歯磨き剤(歯のエナメル質を修復・再石灰化し,歯垢を選択的に吸着除去する),化粧品(皮質の古い細胞を吸着除去し,表面下の細胞活性を促進して素肌の再生力を高める),食品添加剤(カルシウムの吸収性に優れる)などにも使われる。タンパク質の吸着特性に優れていることからタンパク質の分離精製(クロマトグラフィー)用,エタノールをガソリンに転化できるなどの触媒用といった工業用途にも活用されている。

供給・開発状況

2006/06/16

ペンタックス,骨組織が早く再生/修復する骨補填材料を発売

 ペンタックスは,従来より気孔率を格段に高めたハイドロキシアパタイト骨補填材料「アパセラム‐AX」を開発,2006年6月8日から販売を開始する(Tech-On!の関連記事1)。同骨補填材料の特徴は,気孔を制御したことにより,細胞組織が浸透しやすく骨組織が早く再生/修復するようになった点。このため用途が従来のハイドロキシアパタイト骨補填材料の「欠損部の補填」に加えて「骨再生」や「機能再建」にまで広がり,多様な部位や症例に適用できる。

サンギ,バイオマス由来のエタノールを原料にガソリン代替燃料などを合成

 サンギは,化石資源ではなく稲藁やさとうきびといったバイオマス由来のエタノールを原料に,ハイドロキシアパタイトを触媒として1-ブタノールや1,3-ブタジエンといった化学工業原料やガソリン代替燃料(バイオガソリン)を合成する技術を開発した(Tech-On!の関連記事2)。現在,世界各国で特許取得を推進すると同時に,新たなエタノール化学産業の創造を目指している。同社は現在,大学や公的研究機関との共同研究の準備を進めながら,プラントメーカーや石油化学会社に対しスケールアップの研究を打診していくという。

サンギがオーラルケアと提携,歯科向けにナノテク歯磨剤を発売

 サンギはオーラルケアと業務提携し,歯科ルートで,歯科医院専用歯磨剤「アパガード・リナメル」を発売する(Tech-On!の関連記事3)。「アパガード・リナメル」は,オーラルケアの要求する無研磨剤・低発泡剤・キシリトール配合などに対応した上で,薬用ハイドロキシアパタイトを市販品の倍に増量したのが特徴。歯のエナメル質に対する修復効果(再石灰化,微小欠損の充填),歯垢の吸着除去に高い効果が見込めるという。

ニュース・関連リンク

ペンタックス,骨組織が早く再生/修復するハイドロキシアパタイト骨補填材料を発売

(Tech-On!,2006年5月31日)

サンギ,バイオマス由来のエタノールを原料にガソリン代替燃料などを合成

(Tech-On!,2005年3月3日)

サンギがオーラルケアと提携,歯科向けにナノテク歯磨剤を発売

(Tech-On!,2004年2月4日)

産総研,フッ化アパタイト二酸化チタン光触媒の合成に成功

(Tech-On!,2004年1月30日)