有機材料を受光部に使った撮像素子のこと。特定波長の光を選択的に吸収し,その他の光を透過する「有機光電変換膜」で光を電荷に変換する。

 特徴は,色フィルタを使う現行品と比べ,1画素当たりの光の利用効率が3倍高くなること。既存の撮像素子よりも感度がもう1段高まる可能性がある。有機光電変換膜は特定波長の光以外は透過するので,RGBに対応した3層の光電変換膜を縦に積層し,全可視光を電荷の変換に利用できる。これに対し現行品は,色フィルタで「赤」「緑」「青」のいずれかの光だけを取り出して電荷に変換するため,光の利用効率が悪かった。色フィルタを省略する手段としてはプリズムで光を3色に分離する方式もあるが,撮像素子が3つ必要でコストや実装空間が増えてしまう。

 ただし,有機撮像素子の実用化には,幾つかの課題を解決する必要がある。有機色素材料が吸収する波長の選択性を十分に高めること,光が当たっていない部分に流れる暗電流を減らすこと,光の外部量子効率を高めることなどである。

図 現行のCMOSセンサ(a)と有機光電変換膜を使ったCMOSセンサ(b)の断面図。現行品は色フィルタを使って分離した特定色の光のみを各画素で信号電荷に変換する。一方,有機CMOSセンサは,可視光を無駄なく電荷に変換できる。こうした構造は銀塩フィルムに類似している。
図 現行のCMOSセンサ(a)と有機光電変換膜を使ったCMOSセンサ(b)の断面図。現行品は色フィルタを使って分離した特定色の光のみを各画素で信号電荷に変換する。一方,有機CMOSセンサは,可視光を無駄なく電荷に変換できる。こうした構造は銀塩フィルムに類似している。 (日経エレクトロニクス2006年1月30日号より抜粋)