日本人1000人分の全ゲノム情報、東北大が統合解析

次世代シーケンサーやスパコン活用

2015/08/24 13:50
大下 淳一=日経デジタルヘルス
東北メディカル・メガバンク機構が本部を置く東北大学 星陵キャンパス
東北メディカル・メガバンク機構が本部を置く東北大学 星陵キャンパス
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 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)などの研究チームは、東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査に参加した日本人1070人分の全ゲノムを高精度に解析。「1KJPN」と名付けた日本人の全ゲノムリファレンスパネルを構築することに成功した(プレスリリース)。次世代DNAシーケンサーで、のべ100兆塩基に及ぶ全ゲノム断片配列情報を解読。スーパーコンピューターによる解析と、他の手法による実験結果による検証とを組み合わせた。詳細は英国科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載される。

 一連の研究で発見した情報は「日本人に固有な体質・疾患の関連遺伝子を大規模に探索するための基盤情報であり、日本人の個別化予防・医療研究を加速する」(東北大学)。日本人を対象とするあらゆるゲノム関連研究に活用可能という。希少疾患の原因変異かどうかの推定や、遺伝子の機能にかかわる個人差の原因となる変異の探索、日本人特有のゲノムに基づくリスク診断・医療・創薬などだ。

「米の消化遺伝子」の個人差などが明らかに

 今回の解析では、信頼度の高い2120万カ所の一塩基バリアント(single-nucleotide variants:SNVs)を発見した。このうち1200万カ所は、従来の国際データベースでは報告されていなかった新規のSNVsという。構築した1KJPNでは、日本人が持つ頻度0.1%以上のSNVsを90%以上網羅できていることを、スーパーコンピューターによるシミュレーションで確かめた。

 この他、日本人の全ゲノム中の2万個以上の遺伝子のほぼすべての領域におけるコピー数の違いについて、詳細なプロファイルをデータベース化。米に含まれるデンプンの消化に関係するアミラーゼ遺伝子(AMY1)に偶数個の単位で個人差があることや、免疫疾患に関連するヒト白血球型抗原(HLA)遺伝子の詳細プロファイルの作成にも成功した。

 今後は、地域のコホート研究などとも連携し、リファレンスパネルの人数規模を拡大する。加えて、解析手法を改良し、リファレンスパネルをさらに高精度化するという。全国の研究者への分譲や共同研究による利活用も計画している。

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