《ソニー・コンピュータエンターテインメント編》

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のゲーム機設計の特徴は性能と先端技術へのこだわりに尽きる。ゲーム機の心臓部であるCPUや画像処理LSIといった半導体の設計に積極的に関与する。半導体製造技術の進歩の恩恵など,その時々の最先端の技術成果を貪欲にゲーム機に取り込もうとする姿勢は同社のカラーである。

 ところが,そうして出来上がったゲーム機が,パソコンなどのコンピュータ機器とは一線を画した家電らしい仕上がりになっている点も同社の特徴と言える。任天堂製品の基板と比べると部品点数は多いが,その点数は絞り込まれ,基板は整然としており,洗練された設計という印象を受ける。

 主要なLSIの大半に「SONY」の刻印が見受けられ,半導体へのこだわりが目を引く。抵抗やコンデンサ,ノイズ対策部品といた目立たない部品にも最先端の部品が採用されており,AV機器などの家電製品で培った回路技術への自信が見て取れる。

プレイステーション(1994年12月発売,3万9800円)

 ソニー・コンピュータエンタテインメントの最初のゲーム機。全世界で1億台以上を出荷した。主要なLSIの大半に「SONY」のロゴが見られる。部品点数は多いがよく整理して配置されており,基板の設計は洗練されている。

 ソニーが販売していたUNIXワークステーション「NEWS」にも使われていた米MIPS社の「R3000」をコアに,ジオメトリ演算を担うGeometric Transfer Engine(GTE)と呼ばれる3D画像の専用処理回路と,圧縮画像の伸長回路を組み込んだCPUを採用している。さらに,2次元画像の処理用にGPUを搭載する。主記憶は2Mバイト,これとは別に1MバイトのVRAMを搭載する。3D画像の専用回路を使うことで,CPUの処理能力や大容量のメモリ抜きに,3Dゲームを実現するという考え方で設計されている。

 プレイステーションに採用されている音源LSI(SPU)は,ソニーが任天堂のスーパーファミコン向けに提供した「SPC700」の流れをくむ。SPC700はプレイステーションの開発を主導した久夛良木健氏が設計したLSIで,自ら任天堂に売り込んで採用を勝ち取ったという逸話がある。


「プレイステーション」の基板 (画像のクリックで拡大)