測定原理
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システムの構成
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製品の外観
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 浜松ホトニクスは,植物が光合成する際に発生する遅延発光を利用して化学物質の毒性測定する「光バイオアッセイシステム」を開発した。この手法による測定システムは世界初という。システムの中核は,遅延発光を光電子増倍管で検出して発光量を計測する高感度光検出装置。測定時間が短く,低コストで専門技術を必要としない点が特徴だ。農薬・洗剤を手掛ける化学メーカーや,植物生理学・環境学・農学を研究する大学や研究機関などに向けて2008年10月に商品化する予定。

 植物は光合成によって細胞内にエネルギを蓄える一方,光を遮断すると光合成の逆反応が起こり,蓄えたエネルギを使って微弱な光を放出する。この現象を遅延発光(または遅延蛍光)と呼ぶ。同社は,測定したい化学物質を含むサンプル中で藻を24時間培養し,その藻から発生する遅延発光を60秒間計測して得るフォトンの積算数が,標準法(「TG201」)で72時間培養した藻の生長(増殖)と相関関係があることを発見した。光合成を直接的に阻害する毒性がある化学物質の場合は,1時間の培養で同様な相関関係があることを確認している。

 つまり,毒性の有無に短時間で反応する遅延発光を利用し,発光量と変化パターンの計測することで化学物質の毒性を測定できる仕組みだ。これにより,毒性が解明されていない数万種類といわれる化学物質の測定が促進され,環境負荷の低い農薬や洗剤の開発に貢献できるという。また,工場廃液や下水道の処理水の汚染状況を継続的に計測する水質管理にも使える。さらに,遅延発光の変化から光合成代謝の変化を評価できるので,植物の品種改良の研究にも応用できる。

 同システムは,以下の三つの特徴を持っている。(1)標準法に比べて短時間・低価格,しかも簡単に測定。標準法では,専門の試験技術者が72時間の培養を数回繰り返す必要があるので,時間かかり試験費用も80万円程度の高額になる。新しい測定法なら,1~24時間の培養で遅延発光を計測できるので,短時間で済む分だけ試験コストを下げられる。さらに,専用ソフトウエアを用意しているので簡単に測定できる。(2)新しい計測手法。遅延発光の変化パターンから,光合成のどの段階で反応が阻害されているかが分かり,毒性発現のメカニズムも推定できる。(3)計測性能が高く適用範囲が広い。これまで難しかった微弱発光領域で測定器の検出能力のずれを補正する感度キャリブレーション機能があるので計測感度が高い。また,光合成色素を励起させる光の波長を3種類から選択できるのでさまざまな植物に対応できる。

 なお,今回の測定システムは,環境省の委託研究「環境技術開発等推進費」により,国立環境研究所と共同で開発した。