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 2006年4月1日に,携帯機器向けの地上デジタル放送サービス「ワンセグ」が始まる。しかし,対応機種を発売する携帯電話機メーカーは限られる。通信事業者も,カメラ搭載機の時のように全機種に搭載して,急激に普及させようとは今のところ思っていないようだ。しかし,ワンセグのモジュール価格は,カメラ搭載機が発売されたころのカメラ・モジュールとほぼ同じなので,コストに無理があるわけではない。ワンセグがキラー・アプリケーションになると通信事業者が判断すれば,カメラの時と同じように全機種に搭載することになる。

 ワンセグの今後を占う上で参考になるのが,地上アナログ・テレビ・チューナ付き携帯電話機だ。2003年12月にボーダフォンが日本で初めて地上アナログ・テレビ・チューナ付き携帯電話機を発売し,2年で累積300万台を超え,2005年通年では約180万台を販売した(図)。これは日本の携帯電話機出荷台数全体の約4%を占めた。受信できるエリアの広さや画像の鮮明度を考えれば,ワンセグの方がはるかにユーザーには受け入れられる。「日経マーケット・アクセス」では,2006年に少なくとも400万~500万台の需要はあると見ている。


図●ボーダフォンのテレビ・チューナ付き携帯電話機の販売台数の推移(2005年1月~2006年1月実績)

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)の「プレイステーション・ポータブル(PSP)」は,本来はゲーム機だが,UMD(Universal Media Disk)などで動画を楽しむことができる。また,2005年10月に米Apple Computer, Inc.は人気の「iPod」シリーズでビデオ映像を楽しめる新機種,いわゆるiPodビデオを発売した。これらを含めれば,テレビ番組あるいはビデオ映像を楽しむ携帯機器(携帯ビデオ・プレーヤ)は,2006年に日本で約1000万台が出荷されるだろう。電車の中でテレビを見る人が急激に増えることになりそうだ。

ビデオ映像を楽しむ携帯機器は2006年に世界で6000万台

 世界に目を向けると,テレビ・チューナ付き携帯電話機は,韓国で普及が先行したが,欧米での普及はこれからだ。携帯電話機以外では,PSPが2005年通年で1450万台を販売され,2006年は約15%の伸びるだろう。iPodビデオは,2005年10月からの3カ月で約500万台を販売したと日経マーケット・アクセスは推定している。2006年はまだ不透明だが,Apple社は,iPod nanoの台数を減らしてiPodビデオに集約する可能性もあると見られ,2006年にiPodビデオだけで1500万台は出荷するだろう。加えて,液晶一体型ポータブルDVDプレーヤが約1000万台市場だ。世界全体では,2005年に携帯ビデオ・プレーヤーが約3000万台出荷されたことになる。

 「ニンテンドーDS」のように別売りチューナを付ければ携帯ビデオ・プレーヤになるものまで含めれば,米Microsoft Corp.の新ポータブル情報端末「Origami Project(オリガミ・プロジェクト)」を除いても,2006年には携帯ビデオ・プレーヤの市場規模は約6000万台が見込める。携帯機器メーカーにとって,動画再生が次のキラー・アプリケーションと見られていることは間違いなさそうだ。