家庭用プリンター向けインク・カートリッジの再利用をめぐり,キヤノンとリサイクル・アシストが争っている特許権侵害訴訟の控訴審(平成17年(ネ)第10021号 特許権侵害差止請求控訴事件)の判決が,2006年1月31日に知的財産高等裁判所の特別部(大合議部)であった。

 知財高裁は,控訴審の原告であるキヤノンの訴えを認める判決を言い渡した。「インク・カートリッジのリサイクル品は新たな生産に当たらず,特許権を侵害しない」とする東京地方裁判所の第一審(平成16年(ワ)第8557号)判決を取り消し,「原判決を取り消す。リサイクル・アシストはキヤノン製インク・カートリッジのリサイクル品を輸入,販売してはならない。リサイクル品を廃棄せよ」とした。

 この係争の発端は,キヤノン製のインク・カートリッジにインクを詰め直したリサイクル品を輸入・販売し始めたリサイクル・アシストに対して,2つの特許権侵害があるとしてキヤノンが輸入差し止めを求めたことにある。キヤノンがリサイクル・アシストを特許権侵害で提訴した第一審で東京地方裁判所は,キヤノンの請求を棄却し,「特許権侵害に当たらない」とする判決を2004年12月に下した。この判決を不服としたキヤノンは東京高等裁判所に控訴していた(Tech-On!の関連記事1)。

 今回の控訴審では,キヤノンのインク・カートリッジの製造方法に関する発明「液体収納容器,該容器の製造方法,該容器のパッケージ,該容器と記録ヘッドを一体化したインクジェットヘッドカートリッジ及び液体吐出記録装置」(特許番号:第3278410号)の特許権をリサイクル・アシストが侵害しているか否かが争われた。第一審ではインク・カートリッジの構造に関する発明「インクタンクおよびインクタンクホルダ」(特許番号:第2801149号)についても争っていたが,2005年7月に特許庁がこの特許を無効とする審判を下しており(Tech-On!の関連記事2),今回の控訴審では争われなかった。

 知財高裁は今回の控訴審を,通常の3人による審理から,5人の裁判官による特別部(大合議部)による審理に移すことを2005年10月に決め,同年11月から審理を始めた(Tech-On!の関連記事3)。大合議事件は,今回の控訴審が3件目となる。

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