Nero日本法人の代表取締役であるCharly Lippoth氏。
Nero日本法人の代表取締役であるCharly Lippoth氏。

 ドイツNero AGがデジタル家電市場に食指をのばしている。パソコン用のCD-R記録ソフトウエア「Nero Burning ROM」を1997年に発表して名をはせた同社は,その後アプリケーションを拡充し,現在は映像データやオーディオ・データの取り込み,編集,記録,再生までが可能なソフトウエア・パッケージ「nero 6」を販売している。現在のユーザーは約1億6000万人,同社のホーム・ページには1カ月に約2000万人がアクセスするという。

 デジタル・コンテンツの統合ソフトウエアを開発する同社が次に焦点を定めたのは,デジタル家電市場である。同社はまず2004年3月に日本法人を設立した。狙いは主に2つある。1つは,デジタル家電に強い日本メーカーの元でソフトウエアのOEMビジネスを強化すること。もう1つは,デジタル家電関連の規格団体に積極的に接触するためだ。例えば光ディスク関連でいえば,DVD ForumやBlu-ray Disc Association(BDA)など日本に活動拠点を置く団体は多い。

 デジタル家電に食い込む上で,同社が土台にしようとしているのが「Nero Digital」と呼ぶMPEG-4ベースの映像/オーディオ・ファイル・フォーマットである。2003年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2003」で初めて発表した後,フォーマットの改良や対応ソフトウエアの開発を進め,2004年末にはいち早く最新の映像符号化方式であるH.264/MPEG-4 AVC(以降,H.264)を使ったファイルを生成可能にした(発表資料)。さらに2004年末から2005年初頭にかけてNero Digital対応をうたうDVDプレーヤの発表が相次いでいる(発表資料1同2同3)。日本法人の代表取締役であるCharly Lippoth氏にNero Digitalの特徴や,今後のデジタル・コンテンツ戦略について話を聞いた。

——まずNero Digitalの特徴を簡単に教えて欲しい。

Lippoth氏 「.mp4」という拡張子が付いたファイル形式で,同ファイルにMPEG-4 Visualの映像データとMPEG-4 AACのオーディオ・データ(またはH.264の映像データとMPEG-4 High-Efficiency AACのオーディオ・データ),ナビゲーションの情報を多重化してある。ナビゲーション機能により,DVDのように映像のチャプターを区切ることができ,字幕は2カ国語分を,オーディオ・トラックは2トラック分を同一ファイルに格納できる。Nero Digitalに対応した機器やソフトウエアでこのファイルを再生すれば,チャプター単位でジャンプしたり,字幕を切り替えたり,日本語/英語音声を切り替えたりできる。機器やソフトウエアなどが対応していない場合でも,例えば米Apple Computer, Inc.の「QuickTime」のように.mp4ファイル形式に対応していれば,映像とオーディオは通常通り再生できる(MPEG-4 VisualとMPEG-4 AACの組み合わせの場合)。ただしNero Digital対応をうたっていても,H.264を復号化できるのは現在のところ我々の再生用ソフトウエア「ShowTime2」のみで,現行の対応DVDプレーヤなどはH.264には対応していない。

——DVDでもユーザーは同様の使い勝手を実現できるが,Nero Digitalならではの特徴は何か。

同氏 DVD-Videoは光ディスクという物理媒体に特化したフォーマットだが,Nero Digitalは物理媒体に依存しない。保存する媒体はハード・ディスク装置(HDD)でも光ディスクでも小型メモリ・カードでも良い。さらに携帯電話機やPDAのような携帯機器からハイエンドのHDTV再生機までを視野に入れたフォーマットだ。画面画素数でいえば176×144画素から1920×1080画素までを対象としている。パソコンだけでなく,最初から民生機器を意識してフォーマットを作った。具体的に言えば,画面画素数やフレーム速度の異なる次の5つのプロファイルを規定している。

「MOBILE」:176×144画素,15フレーム/秒
「PORTABLE」:352×288画素,30フレーム/秒
「STANDARD」:720×576,25フレーム/秒または720×480画素,30フレーム/秒
「CINEMA」:1280×720画素,30フレーム/秒
「HDTV」:1920×1080画素,30フレーム/秒

次のページへ

「2005 International CES」で見せたデモ。nero 6を使ってH.264方式で符号化した映像を復号化していた。
「2005 International CES」で見せたデモ。nero 6を使ってH.264方式で符号化した映像を復号化していた。

符号化画面。
符号化画面。

プロファイルを選択。「AVC」と付いているのはH.264/MPEG-4 AVC。付いていないのはMPEG-4 Visual。
プロファイルを選択。「AVC」と付いているのはH.264/MPEG-4 AVC。付いていないのはMPEG-4 Visual。