過去50年にわたって電子産業の成長を支えてきたムーアの法則が、終焉を迎えつつある。トランジスタを微細化して回路の集積度を高めるほどコストが下がり、性能が高まる黄金時代は既に去った。エレクトロニクス業界はムーアの法則に依存した開発手法から、創意工夫をこらして価値を生みだすスタイルへの転換を迫られている。

 「ムーアの法則は機器開発の拠り所だったが、もはやそれに頼れる時代ではない」(大手電子機器メーカーで部品調達に携わる技術者)─。

 電子回路の同一面積当たりの素子数(集積度)が1年で2倍に高まるという「ムーアの法則(Moore’s Law)」が提唱されてから50年。集積度の増加率が「2年で2倍」に修正されて40年が過ぎた(「産業の50年を支えた見えざる調和率」参照)。電子産業の成長の礎であり続けてきたこの法則が今、黄昏の時を迎えている。今後、ムーアの法則に沿う集積度向上が止まる半導体製品が、徐々に増えていきそうだ。

 その時、産業界には何が起こるのか。悲観論は意外にも少ない。「我々の仕事も終わるのか。むしろ逆だ。ルーティーンワークではなく、創造的な仕事ができる時代が来る」(日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所 サイエンス&テクノロジー 部長の折井靖光氏)。「素子寸法の縮小に頼らない、多彩な技術進化が始まる」(半導体製造装置大手、アプライド マテリアルズ ジャパン 代表取締役社長の渡辺徹氏)。

 元・半導体技術者の服部毅氏(服部コンサルティング インターナショナル 代表)はこう見る。ムーアの法則の終焉は「力ずくの時代から、独創を発揮する時代への変化を意味する。先が読めない不安な時代ととらえるのではなく、トレンド追求の呪縛から解放された知識創造の時代ととらえれば、無限の可能性を切り拓ける」。

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