“夢のエネルギー”核融合発電は、現行の原子力発電に比べてはるかに安全で、燃料も無尽蔵に近い。実用化できれば原子力発電を置き換え、化石燃料も不要になる。開発や実用化の動きが国内外で活発になってきた。

 「国際熱核融合実験炉(ITER)計画の後を見据えた開発競争が始まった」─。核融合発電技術のある研究者は、同技術を巡る新しい動きについてこう表現する。

ITER=International Thermonuclear Experimental Reactor。核反応のエネルギーが500MW規模の炉で、核融合状態を300~3000秒維持すると共に、投入エネルギーに対する出力エネルギーの比(エネルギー増倍率)で5~10の実現を目指す計画。全体計画では、発電システムの検証は含まれていない。予算は、欧州が45%、残りの6カ国が約9%ずつ負担する協定になっている。初期の構想は1985年に持ち上がった。当初の参加国・地域は、米国、当時のソビエト連邦(ソ連)、日本、欧州。1999年に米国が脱退し、2001年にカナダが加入。2003年には米国が復帰したが、カナダが脱退。2003年以後、中国、韓国、インドが参加した。2007年に実施主体のITER国際核融合エネルギー機構が発足した。

 新しい動きとは、日本や韓国、中国などで、本来はITERの後に実現する予定だった「原型炉(DEMO)」の設計が始まりつつあること(図1)。加えて、米国を中心に核融合発電を目指す民間企業が続々と生まれていることである(表1)。

原型炉=7カ国・地域が協力して建設、運用するITERとは別に、各国が独自に建設する、商用炉の原型となる核融合炉。商用炉のデモ炉という理由で「DEMO」とも呼ばれる。日本でのDEMO計画は複数あり、「Slim CS」「CREST」などという名がある。韓国では「K-DEMO」という名前である。
図1 国レベルの核融合発電が2040年前後から実現へ
国の助成で進められている核融合発電技術の今後のロードマップを示した。ITERのロードマップは本誌推定。
[画像のクリックで拡大表示]
表1 “核融合ベンチャー”が続々登場
[画像のクリックで拡大表示]

 米Lockheed Martin社が2014年10月に独自の核融合炉技術の特許公開と併せて「核融合発電を10年以内に実現する」と発表したのも、その動きの1つだ。こうした民間企業の多くは、2020年代前半の実用化を目指している。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経エレクトロニクス」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら