自動車用エアコンのコンプレッサは、固定容量で、電磁クラッチによりオンオフ制御するものが一般的だった。これに対し、最近は斜板式や揺動板式の可変容量タイプが増えている。サンデンはこうした方式を手がけるほか、スクロール式を使い、モータで駆動するEV(電気自動車)用電動コンプレッサも供給する。

 自動車用エアコンの開発は、1930年代の米国にさかのぼる。当時のクーラーは、荷室を犠牲にして搭載されるような大きさだった。1950年代になると、米国南部では高級車には欠かせない装備となり、1970年代から80年代にかけては日本でも普及する段階に入った。
 カーエアコンのコンプレッサは大きく分けて往復式と回転式の2種類がある。往復式は、現在の主流である斜板式のほか、揺動式、クランク式がある。一方、回転式ではベーン式とスクロール式が代表例。このうちベーン式は安価であり、小型車向けに多く使われているが、サンデンは手がけていない。
 サンデンは1970年に米Mitchell社との技術提携によって揺動板式からコンプレッサの生産を始め、斜板式、スクロール式へと品目を拡大してきた。揺動板式は古くからある技術だが、耐久性が高いため、今でも建機や商用車向けとして根強い人気がある。
 揺動板式は、斜板の回転をピストンの往復運動に変換して冷媒を圧縮するものだが、回転せずに揺動する板を使うことが特徴だ。揺動板とピストンはエンジンのようにコネクティングロッドでつながっている(図)。

以下、『日経Automotive Technology』2012年9月号に掲載
図 揺動板式コンプレッサの構造
図 揺動板式コンプレッサの構造
エンジンと同じようにピストン、コネクティングロッドが揺動板につながる。斜板の回転運動を揺動板がピストンの往復運動に変える。斜板の角度を変えると容量が変わる。
出典:自動車部品進化論
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