2011年7月24日、地上アナログ・テレビ放送が終了した。大きな混乱が起こる可能性を指摘する声もあったが、実際にはトラブルらしいトラブルはほとんど起こらなかった。エコポイントによるテレビ買い替えの促進が功を奏した格好だ。ただ、需要の先食いにより、今後の国内テレビ市場は厳しい状況が予想される。世界的にも、テレビ市場は金額ベースでは縮小の方向にある。

エコポイントが地デジ普及を後押し

 「期待していた以上に穏やかに終わった」。地上デジタル・テレビ放送(地デジ)の推進団体であるデジタル放送推進協会(Dpa)常務理事の浜口哲夫氏は、2011年7月24日のアナログ停波をこう振り返る。同氏は「アナログ放送を止めることで何が起こるかは予断を許さなかった。このため、事前にやれることは全部やった。それでも直前の緊張は大変なものだった」と語る。そうした準備が功を奏してか、停波当日は大きなトラブルはほとんど起こらなかった。

 地デジが東名阪で始まったのは2003年12月。しかし、アナログ停波への対策が本格化したのは、2008年10月に総務省が「テレビ受信者支援センター」(「デジサポ」の愛称は2009年1月に決定)を設置してからである。2009年5月には「家電エコポイント制度」が始まった。主な目的は環境対応家電の普及による地球温暖化対策だが、「経済の活性化」や「地デジ対応テレビの普及」も正式な目的としてうたっていた。このため、特に大画面テレビの購入で多くのポイントを獲得できるようになっていた。

 本番2年前の2009年7月24日には、石川県珠洲市でリハーサルを実施。同年10月には生活困窮者に対する簡易チューナーとアンテナの提供、2010年3月には地上放送設備が間に合わない地域に対する衛星による地デジ番組提供(衛星セーフティネット)といった救済措置が始まった。

 想定外だったのが、2011年3月11日に起こった東日本大震災だ。この影響で、福島県、宮城県、岩手県の東北3県ではアナログ停波が2012年3月31日に延期された。「地方自治体からの要請が主な理由」(総務省 情報流通行政局 地上放送課 課長補佐の飯倉主税氏)。地域の共聴施設などの対策は自治体が意見をまとめるが、震災と原子力発電所事故への対応に追われているため、自治体の手が回らないのだという。

『日経エレクトロニクス』2011年9月19日号より一部掲載

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出典:解説
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